男が受けるセクハラ被害が軽視される不条理 男女を問わず、からかわれたり強要されたり
先の話題と少しかぶるが、女性経験のない男性が、風俗店に行くよう勧められるケースもあるようだ。勧めた側の男性は「良いアドバイスをした」と思っていることすらある。
「『お前には自己啓発が必要だ』と言われて、駅前やバーでナンパをさせられた」
「女性としゃべる時に緊張していては仕事にならないと言われ、キャバクラに連れて行かれて、延々と話をさせられた」
という話も聞いた。
やはりセクハラをしている側には罪悪感は乏しい。むしろ「教育してやってる」と思っている。大きなお世話だろう。
「20代の頃、他業種の年配の人たちと飲みに行きました。終電がなくなるので帰ろうとすると『帰りたいならキスをしろ』と言われました。断ったのですが、あまりにしつこくて結局キスして帰りました。それ以来、かなり長い間、そういう人たちに対して差別的な感情を持っていました」(40代男性)
被害者が加害者と同じカテゴリーの人たち全体に差別的な感情を持つことはある。加害者はセクハラをする時に、自分の仲間も傷つけていると思ったほうが良いだろう。
女性から男性に対するセクハラ
女性から男性に対するセクハラが、男性から女性に対するセクハラよりも数が少ないのは「女性が男性の上司になるケースが逆の場合に比べて少ない」「女性は男性に腕力が劣る」という理由がある。
ただし、女性から男性に対するセクハラももちろん存在していた。被害にあっても、
「男がそんなことでグズグズ言っているんじゃない」
などと、そもそもセクハラだと思ってもらえない場合が多いのも問題だ。
「僕のいる部署は男が僕だけで、他は40代、50代の女性なんです。子ども扱いというか、なめた扱いをしてくるんですよ。まず容姿を『かわいい』って言われるのがすごく嫌なんですが、否定するのも難しいんです。仕事で失敗すると、
『こんなこともできないの? 取り柄は顔だけ?』『顔だけで世の中渡っていけるのは、若いうちだけだからね』などと言われます。一応顔は褒めてもらっているので文句は言いづらいんですが、正直気分は悪いですね」(30代男性)
若い部下ができると、ついセクハラ的な言動をしてしまう女性上司もいるようだ。女性から男性に対するセクハラでも、性経験がないことをいたぶるものは多かった。
「バレンタインデーやクリスマスの日に限ってわざわざ『今日の夜はどうやって過ごすの?』とか聞いてくるんですよ。素知らぬ顔をしますけど傷つきますよね」(20代男性)
また、「どうして風俗に行かないんですか?」などとあけすけに聞いたり、わざと彼氏とラブホテルに行った話などをされたという話も聞いた。聞こえよがしに「童貞って気持ち悪いよね」と言われたという報告もあった。
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