「ドラえもん」と「コナン」映画が外さない理由 親を巻き込む人気長寿アニメの絶妙な仕掛け

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親世代の心を打つには、映画ならではの仕掛けが必要になる。その代表的なものが「泣けるストーリー」だろう。テレビアニメでもたまに泣けるシーンはあるが、かなり少ない。一方で、「ドラえもん」や「名探偵コナン」の劇場版映画は、大人が見ても楽しめて、最後は泣けるという展開になっていることが多い。

「ドラえもん」「名探偵コナン」のいずれも2017年公開の劇場版映画をちょっとググってみると、「泣けた」「涙が出た」「感動した」という評判を見かける。ドラえもんなんて、子供も大人も泣ける映画として有名で、「大人になってからこそ見たい!」というコメントもよく見るくらいだ。

かくして無料のテレビアニメで宣伝・集客して子どもに購入動機を抱かせ、子どもにねだられながらも、子どもの教育や自分の楽しみのため、親が有料の映画を購入するという流れができる。親にしても、もともとは「ドラえもん」や「名探偵コナン」を知っているため、いわゆる既存客でもあり、リピーターの要素もある。「テレビ離れ」といわれるが、まだまだテレビが持つ影響力の大きさは見逃せない。

そして、「ドラえもん」や「名探偵コナン」の劇場版映画の興行収入にとって大きいのは、売り上げを構成する「数量(入場者数)×単価」の「数量(入場者数)」に効くことだろう。小学生同士で映画を見に行く子どももいるが、多くは親が同伴する。両親やきょうだいも一緒についていくと、さらに「数量(入場者数)」は大きくなる。

子供向けのサービス市場を制するには親を制す

良い商材やサービスをつくるのはもちろんだが、常に目に触れる効果的な宣伝・ブランディングをし、幅広く、多くの人を対象にし、既存客をつかまえてリピーターにして安定票を確保する――。これらはヒットビジネスをつくる鉄則であり、「ドラえもん」と「名探偵コナン」の劇場版映画が、親をうまく巻き込む構図をつくったことで確立できている面だ。

少子高齢化社会が進む中でも、子ども向けの学習・スポーツ・コンテンツ・遊びのような商材・サービス市場はまだまだ大きい。こういった分野で勝負する企業や組織は、子どもにファンになってもらいつつも、いかに親を顧客としてとらえられるかが、カギとなるだろう。それを具体的施策に落とし込める企業こそが、今後、競争力を増していくに違いない。

岸 光月子 Emotion Techマーケティング部マネージャー、映画フリーク

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きし みつこ / Mitsuko Kishi

2010年白百合女子大学文学部卒。大手人材企業での営業経験、ベンチャー企業でのクラウドシステムのマーケティング・営業経験を経て、2017年Emotion Techにマーケティングマネージャーとして入社。Emotion TechはクラウドシステムとAIを使った感情分析を得意としており、こういった技術を活用し、多岐にわたる分野の分析も行っている。趣味は映画鑑賞と日本酒を飲むこと。映画の特に好きなジャンルは、サスペンス映画・ロードムービー・アクション映画。年間平均180本を超える映画を鑑賞。

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