ゾゾ幹部の「バラマキ送金」に隠された"火種" ポケットマネーであれば問題ナシなのか?

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個人で登録しているIDにおける発言や施策ではあるものの、所属企業を利する意図がある以上、景品表示法上の問題となる可能性がある。

本件は、たしかに“悪ふざけ”なのかもしれない。しかしLINE Payだけでなく、手軽に低い手数料で、相手の素性を確認することなく簡単にIDだけで送金できるサービスはフェイスブックをはじめ多数登場している。そこで、個人のポケットマネーであると宣言したうえで送金し、送金相手を特定サービス事業や商品へと誘導する手法の妥当性について取材した。

今回のケースは“来店誘引”に相当

本件については、事の経緯について消費者庁に確認してもらったうえで、「同様のやり方でおカネを配布し、個人が所属する企業のサービスの利用を促す行為に問題はあるか」という質問をぶつけてみた。

「この場での判断は行えない」。そう断ったうえで、消費者庁の担当者は本件について次のように答えてくれた。

今回のケースは“来店誘引”に相当する。つまり、特定のサービスを使って商品を購入することを促すケースだが、割引券、あるいは割引券に相当する“ショッピングポイント”の贈呈ならば、景品表示法の問題はない(ただし、商品を販売しているサイトの価格帯から明らかに逸脱した高額のポイントや割引ならば問題になる)。

しかし、現金あるいはそれに相当する、つまりどんな場所でも利用できるのであれば、それは景品として判断される。LINE Payは当然ながら景品となる。今回はこちらのケースだが、たとえ景品であったとしても個人が配布することにはまったく問題はない。

問題は個人の行為なのか、サービス事業者の行為を代行しているかの判断に依拠する。

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