(このひとに5つの質問)矢野 薫 NEC社長

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(このひとに5つの質問)矢野 薫 NEC社長

昨年は半導体事業の不振で業績が低迷。社員の不正取引などトラブルも頻発し、矢野社長は就任1期目から満身創痍。経営方針説明会では復活に向け、強い意気込みを見せた。(『週刊東洋経済』7月21日号)

今は先々の夢を語らない 半導体、携帯の黒字化だ

1 社長就任の初年度は厳しい船出でした。2年目の舵取りをどう考えていますか。

 昨年度は赤字の半導体事業が回復せず、(米ナスダック市場の上場廃止問題、社員の不正取引など)会計問題も起きて不本意な1年だった。今は先々の夢を語るより、今期必ず連結営業利益1300億円を達成するのが大方針だ。 半導体の再生は何が何でもやり遂げる。(半導体子会社の)NECエレクトロニクス(NECエレ)はすでに再建に着手しており再建計画を必ず達成する。携帯電話事業も黒字化させる。

2 ノンコア事業の半導体を持つ意味は?NECが7割の株式を保有し、NECエレの経営や資金調達での機動性を阻むという見方もあります。

 半導体を持つことで他の事業との境界領域に技術革新が生まれる。よく米国のアナリストは(単一事業だけを手掛ける)ピュアプレーヤーがいいと言うが、私は信じない。半導体なくして、グループ全体の成長と利益の向上はないと思っている。NECエレへの7割出資も変えない。一般的に親子上場の是非が議論されているが、本体と機能が明確に分かれていて市場でメリットが得られるものは上場させる方針だ。

3 収益源のIT・ネットワーク事業は、今後何が成長エンジンになるでしょうか。

 この市場は製品単価の落ち込みが激しく、売り上げベースで大きな成長は望めない。そうした中、国内はNGN(NTTなどが構築を進めるIPをベースにした次世代ネットワーク網)がチャンスだ。昨年度は「無理だろう」という声もある中、NGN関連で900億円を売り上げた。今年度は2000億円を目指す。苦戦する海外ではM&Aを考えている。

4 回復の兆しが出てきた携帯で、最近はソフトバンク向けの新端末が見られませんが。

 ソフトバンク向けは僕がやめろと言った。孫(正義社長)さん好みのもっといい端末を持っていけと。「これいいね」と孫さんが言うような機種を絶対に作る。モックアップ(模型)はできたが、製品披露はまだ先。ドコモ向けでようやく首位が獲れるようになった。ソフトバンクでも断トツの首位を獲る必要がある。

5 米ナスダック上場廃止問題の見通しは?また、社員の不正取引での調査の進展具合は。

 ナスダックについてニュースはない。(上場維持の前提となる)年次報告書をまとめる努力を粛々としている。上場維持できるかどうかはナスダックが決めること。いっさい予測できない。国税庁の調査で明らかになった、いくつかの件(不正取引)について、社内調査を進めている。必要に応じて刑事告訴する。

(書き手:杉本りうこ 撮影:谷川真紀子)

やの・かおる
東京大学工学部卒業、1966年に入社し、伝送事業本部長など通信機器の開発畑を歩く。3度の米国駐在経験も。2006年4月から現職。07年5月、業界団体・情報通信ネットワーク産業協会会長就任。63歳。

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