飲食店が右往左往、「受動喫煙対策」の行く末 五輪開催を控え、都はどういう判断を下すか

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仮に30平方メートル以下を基準にした場合、都内の飲食店の約3~4割が規制対象外(東京都の「飲食店における受動喫煙防止対策実態調査」)になり、国の法案や他県の条例よりも喫煙できる飲食店の割合は少なくなる。

組合員の多くが中小飲食店で組織されている東京都飲食業生活衛生同業組合の宇都野知之事務局長は「規制対象外が30平方メートル以下になってしまうと、多くの店が原則屋内禁煙になる。金銭的にもスペース的にも喫煙室を設ける余裕がない所が多く、禁煙となれば一時的でも客数減は避けられない」と危機感をあらわにする。

「人に着目すべき」という意見も

高齢化が進んでいるという組合員の中には、「規制が決まらないことでお店をどう改装していいのかわからず、借りている店舗の契約更新のタイミングでお店を閉めてしまう組合員も出てきている」(宇都野事務局長)という。

受動喫煙防止の動きは、屋外喫煙所の整備にどう影響するのか(撮影:今井康一)

都民ファーストの会の都議会議員で弁護士の岡本光樹氏は「国の規制で足りないところを上乗せしていくというのが東京都の方針」と述べる一方で、「面積の基準を明確にすれば行政は取り締まりをしやすくなるが、本来は“人”に着目すべき。飲食店のオーナーや従業員、客が喫煙を認めている店だとすれば、広さだけで規制対象とするのは本筋ではない」と指摘する。

ただ東京都が条例を制定した場合、実際に取り締まりに当たるのは市区町村の行政だ。東京都は各市区町村の理解を得て条例の実効性を保つ必要があるが、「現状で全面的に理解が得られているとは言えず、その議論に時間がかかってもおかしくない」(東京都議会自由民主党の小宮あんり議員)。

国の動きを受け、東京都はどういう判断を下すのか。飲食業者の気の休まらない日々はしばらく続きそうだ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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