日本上陸20年、フォーシーズンズの野望 椿山荘東京と別れた後の、新たな戦略
椿山荘との20年、そして今後の野望
――日本でフォーシーズンズといえば、椿山荘東京が有名でした。現在は藤田観光が単独で運営していますが、過去にはウェスティン、パークハイアットと並び「新御三家」とも呼ばれました。藤田観光との20年間の提携関係をどう総括されますか?
フォーシーズンズホテル椿山荘東京がオープンしたときは、当社がアジアに進出してまだ日が浅かった。当社がリージェントホテルを買収したのと同時期に、藤田観光と20年間の契約合意をしました。先方はワシントンホテルを持っていましたが、ラグジュリアスな高級ホテルの運営経験はなかった。非常に多くの投資をされて、すばらしいガーデンを活用して、ウエディングに特化したかたちで椿山荘のビジネスをやっていました。
この20年間を振り返ると、非常によいパートナーシップが築けていたと思いますし、これからの彼らの将来についても、ワクワクして見守っています。
われわれ自身の成長の方向としては、沖縄にもいつかはホテルを持ちたいです。まだ契約締結には至っていないのですが、大阪やニセコ(北海道)にもホテルを作っていきたいと考えております。
――アジア地域への展開についても教えてください。
アジアはフォーシーズンズの戦略と成長の中で、つねに枢要な位置を占めています。この地域では海外旅行者が激増しているからです。日本でも1800万人を超える人々が海外旅行へ行っています。また、中国では昨年、約8000万人が国外旅行をしています。中国ではミドルクラスの人口がどんどん増えていきますので、今後は約1億5000万人の海外旅行者が生まれると言われています。
昨年は中国3カ所(杭州と北京と上海浦東)でオープンしており、9月には深センが開業しました。また、以前はクアラルンプールにもホテルを持っていましたが、なくなってしまったので、もう一度参入し直す形で建設中で、2017年ごろにオープン予定です。インドにも注力しており、すでにムンバイが稼働しているほか、バンガロール、デリーにも計画しています。まだオフィシャルではありませんが、ソウルのホテルとも契約間近です。
ホテルを獲得して経営していくには5~7年の長い時間がかかります。つねに長期的な契約が結べるようなロケーションを探しています。現在、だいたい60のホテルプロジェクトを開発中ですが、われわれは規模にこだわっているわけではありません。株主がいますから成長は必要ですが、同時に、才能あるマネジャーに適切なポストを与えることが重要です。会社が成長を続けることで、従業員は出世するチャンスを与えられるのです。
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