「東芝危機」が日本の産業界に残した重い教訓

債務超過を回避、1年前と大きな違いだが…

「短期間で巨額を投じる決断ができる多くのファンドと、それをまとめ上げる投資銀行が米国にはある。日本勢は腫れ物に触るように動けない」(同)

メモリの売却交渉でも、彼我の差を思い知らされた。

日本に先端半導体産業を残したい経済産業省が日本の大企業に出資を呼びかけた。興味を示した企業もあったが、最終的に資金を出したのはHOYA(と東芝)のみだった。

主導権を握ろうとしない日本勢

官主導の1社100億円程度の“奉加帳”方式では、その後の経営がうまくいくとは思えない。しかし、AI(人工知能)やIoTが社会に浸透し、半導体技術の重要性が高まる中、主導権を握ろうとする日本勢がファンドも含めて現れてもよかった。

日本企業がリスクを取らないわけではない。そもそも東芝の苦境は、適正価格の2倍以上でWHを買収したことに起因するし、高値づかみのM&Aでやけどを負う企業は多い。

当記事は「週刊東洋経済」2月17日号 <2月13日発売>掲載の記事に一部加筆したものです

確実に言えそうなのは、リスクとリターンを見極めたうえで、短期間で投資を決断できる人材が日本に少ないということだ。

企業ばかりを責めるのはフェアではないかもしれない。ビジネスライクにリスクを追及することを是としない空気が日本の社会にある。メディアもまたそうした空気の醸成に一役買っていることは否定できないからだ。

東芝危機が浮き彫りにした課題は重い。

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