他人事ではない!「ストーカー」の実態と恐怖 会ったことがない人を「恋人」と思う人も
私の事務所には、ストーカー被害に悩んでいる人が毎日のように相談に訪れます。
警察庁の統計では、ストーカー被害者の男女比は1対9ですが、私のところに来る相談者の内訳は女性と男性がほぼ同数、つまり加害者の半数は女性です。
男性加害者がプライベートな場所で暴力性を発揮する傾向があるのに比べ、女性加害者は職場など公的な場所を狙い、押しかけたり罵詈(ばり)雑言を浴びせたりする傾向があり、攻撃性の高さ自体に男女の違いはあまりないと感じます。
桶川ストーカー殺人事件(1999年)や三鷹ストーカー殺人事件(2013年)などの凶悪犯罪はメディアで大きく報道されますが、これらはまさに氷山の一角で、ストーカーが引き起こす問題や事件は実に多種多様です。なかには、これまで1500件を超える相談にのってきた私でさえ、「えっ、こんなことがあるの!?」と驚くような事例もあります。そうした例を2つほど紹介しましょう。
ネットで出会い、何度か会ううちに…
インターネットで出会った男性からストーキング被害を受けているという女性の相談を受けました。この男性は20代・無職で、ほとんど自宅にいて、性関係の相手を探していました。性関係といってもセックスの相手を求めているのではなく、ただひたすら女性の裸を眺めていたいというのです。それに興味半分で応じたのが相談者でした。彼女は、男性が性的能力に問題を抱えていると思い、同情した部分もあったといいます。何度かホテルで会い、絵描きのモデルのように裸になりました。
6回目に会ったときに、男性から「交際してほしい」と申し込まれました。女性が「恋愛感情はないので交際するのは無理です。友達ならいいですが」と答えると、「友達でもいいのでずっと付き合ってほしい」と言われ、お互いに住所も知らないので大丈夫だろうと思って、了承しました。