不倫ネタが話題にもカネにもなる風潮の危難 非日常から身近に、崩れる罪と罰のバランス

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同様にテレビでも多くの不倫ドラマが制作されています。昨年だけでも、「奪い愛、冬」(テレビ朝日系)、「あなたのことはそれほど」(TBS系)、「パパ活」(フジテレビ系)、「フリンジマン~愛人の作り方教えます」(テレビ東京系)など、不倫がメインテーマの作品が放送され、それ以外でも「奥様は、取り扱い注意」(日本テレビ系)のように不倫のシーンを描くケースが増えています。

つまり、「マンガもドラマも、『純愛より不倫を描いたほうが売れる』というマーケティングのもとに制作されている」ということ。これは裏を返せば、「世間の人々に向けたサービスとしてやっている」ということでもあり、消費者サイドにも一定の責任はあるでしょう。

ただ、見逃せないのは、かつて不倫は「非日常的なもの」であり、ファンタジーとして制作されてきましたが、近年は「日常的なもの」であり、リアリティー重視で制作されているという事実。「世間の人々にとって不倫が身近なものになった分、これまで以上に反応してしまう」という面は間違いなくあるでしょう。

感情を揺さぶる不倫ネタ

話をいったんメディアからそらすと、古くから成人向けビデオや風俗店では、不倫をテーマにした商品制作やサービスが行われてきました。それらを利用する人々は、「不倫はファンタジー」という認識があり、理性を持って利用していましたが、近年ではトラブルも少なくありません。

実際、私が取材時に聞いただけでも、「おカネに困って人妻もののビデオに出演したら、関係者にしつこく迫られ、ストーカー被害に遭った」(31歳、未婚)、「店の外で待ち伏せされて脅され、不倫関係を強要された」(34歳、既婚)などの被害に遭った女性がいました。

もちろん、これは一部の人に過ぎないのでしょうが、多くの企業が不倫をファンタジーではなく、リアル風のものとしてリリースすることで、理性を失ってしまう人がいるのです。

その一例が、「芸能人の不倫報道に飛びつき、批判の声をあげてきた」人であり、「今回急に週刊誌をバッシングしはじめた」人。各メディアのリアル風な不倫を見たことで、秘密が暴かれたことへの興奮、正義感を盾にした嫌悪、潜在的な願望、どこか拭えない嫉妬……さまざまな感情が揺さぶられているのです。

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