名門モンブラン、「8万円電子ペン」を売る理由 リアルの「紙」と「ペン」を超える日は来るのか
各社が電子ペンを投入する背景には、画像を加工して投稿するSNSの普及や、ビジネス用途でのメモや資料作成にモバイル端末を活用する人の増加などがある。さらに、教育現場でタブレット端末の利用が拡大していることも電子ペンの普及を後押ししている。
ワコムがOEM事業を展開するテクノロジーソリューション事業の2017年4~9月期の売上高は、対前年同期比で3割近く拡大。タブレット端末向けに限れば倍増と絶好調だ。
ワコムでOEM事業を統括し、今年4月から社長に就任する井出信孝取締役は、「これまで閲覧用途が中心だったモバイル端末が、クリエイティブな表現のために用いられるようになってきた。指での操作では限界があるため、ペンが必要になってくる。使い心地もどんどん向上し、ひょっとして電子ペンは文房具の代わりになるかも、という領域にまで近づいてきた」と自信を示す。
新型iPhoneは電子ペン対応との観測も
世界の巨大メーカーも、電子ペンに商機を見出している。ウィンドウズのタブレットPC「Surfaceシリーズ」も、独自の「Surfaceペン」による筆記がウリだ。さらには、かつて電子ペン不要論を唱えていたアップルも、2015年にはタブレット端末「iPadプロ」向けに「アップルペンシル」を投入。さらには、今後発売される新型iPhoneは電子ペンに対応するのではないかという観測もある。
2016年時点の電子ペン市場(信号の発信を伴わないタッチペンは除く)は約30億ドル(3330億円)とまだ小さいが、2021年までには倍の約61億ドル(6770億円)程度まで拡大するという見方もある(タッチディスプレイリサーチ社調べ、2016年時点)。「現時点で電子ペン市場は未熟で、年率何%で成長するといった見方はしていないが、中長期的に爆発的に普及する時期が来ると思う」(井出氏)。
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