米国「洗濯機の緊急輸入制限発動」の衝撃 太陽光パネルも、アジア・欧州で反発高まる

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1月23日、トランプ米大統領は洗濯機と太陽光パネルに輸入関税をかける大統領令に署名した。 米通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)発動はトランプ政権で初めてとなる。 写真は同日、ホワイトハウスでセーフガード措置発動の大統領令に署名するトランプ大統領(2018年 ロイター Jonathan Ernst)

[ワシントン/ソウル/北京 23日 ロイター] - トランプ米大統領は23日、洗濯機と太陽光パネルに輸入関税をかける大統領令に署名した。

米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は前日の声明で、トランプ大統領が家庭用大型洗濯機のほか、太陽電池および太陽電池モジュールに対し、輸入を制限するための関税を課すことを承認したと明らかにしていた。米通商法201条に基づく緊急輸入制限(セーフガード)発動はトランプ政権で初めてとなる。

こうした措置に対し中国と韓国などから批判が相次いでいるが、トランプ大統領はこれにより通商戦争が引き起こされるわけではないとし、「雇用が回復し、われわれは自分たちの製品を自ら製造することになる。こうしたことは長らくなかった」と述べた。

米国のセーフガード措置発動に対し、欧州からも批判の声が上がっている。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は遺憾の意を示したうえで、世界貿易機関(WTO)規定に違反していないか深刻な疑念があるとし、EU加盟国の輸出が影響を受けた場合は躊躇なく対応するとの姿勢を示した。

このほかドイツのアルトマイヤー財務相代行はブリュッセルで記者団に対し、EUは保護主義に反対するとしたうえで、こうした措置により米国民が高い価格での購入を余儀なくされるとの考えを示した。

トランプ大統領の就任1年目の通商政策は想定されたほど懸念を呼び起こすものではなかったが、オックスフォード・エコノミクス(香港)のアジア経済部門責任者、ルイス・クイジス氏はこうした状況に変化が見られる可能性があると指摘。トランプ政権が鉄鋼やアルミニウムなども視野に入れていることを踏まえると「今回の措置は今後続く措置の第1弾でしかない可能性がある」と述べた。ただ、エコノミストの間では米政権は米企業の世界的な供給網に影響が及ぶような措置は避けるとの見方がなお大勢となっている。

洗濯機に対する輸入関税の発動は韓国のサムスン電子<005930.KS>とLG電子<066570.KS>に対する大きな打撃となる。両社は年間合わせて250万─300万台の洗濯機を米国に輸出。売上高は約10億ドルで、米洗濯機市場の約4分の1を握っている。

韓国の梨花女子大学校の国際通商法専門家、Choi Won-mog氏は「トランプ政権では安全保障と通商は一体化している」と指摘。一部韓国のアナリストの間ではトランプ政権は韓国との2国間自由貿易協定(FTA)の再交渉で主導権を握りながら、北朝鮮問題で韓国が米国に対する依存を深めるよう韓国に対し圧力を高めているのではないかとの見方も出ている。

米国の輸入関税措置に対し、サムスン電子とLG電子も懸念を表明。結果的には米国の消費者や米国の雇用が影響を受けるとしている。

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