冬ドラマにジャニーズ主演が溢れかえる理由 強気の全方位営業はスゴいのかやりすぎか
各局の編成担当やプロデューサーなどの実力者とやり取りしつつ、周辺のスタッフやブレーンともコミュニケーションを取って、早い段階から企画案やスケジュールを投げかけるなどの営業努力をしているようです。
各局にしてみれば、「ウチでジャニーズ主演ドラマを放送するのは1本だけだから」という認識に過ぎません。しかし、テレビ局と放送時間帯を巧みに分散させているため、今回のように「いざはじまってみたら6本もあった」というケースが起こりうるのです。
これを一般企業に置き替えると、「いろいろな商品を用意していますが、今回はこちらだけでもいかがでしょうか?」という営業パターン。それを複数の取引先に仕かけることで、全体の売上をアップさせているのです。
この方法は、「売れる会社にめいっぱい売ろう」「いかに上得意を作るか」という営業パターンの会社よりも、各期の売上を確保しやすいのも優れたポイント。もしある会社との取引が打ち切りになったとしても経営が傾くことはなく、安定性のある営業パターンと言えます。
「売りっぱなしにしない」アナログ作業
ジャニーズ事務所の営業力は、「主題歌も主演俳優が確保する」「後輩タレントを助演として送り込む(バーター出演)」という点にも表れています。主題歌が売れれば直近の利益につながり、後輩タレントが経験を積むことで未来の利益につなげるというダブルのメリットを確保できるのも、優れた営業の証。おカネとおカネで買えない経験の両方を得ることで、次の営業につなげていることがわかります。
さらに、ジャニーズ事務所の営業は、「売りっぱなしにしない」のも強みのひとつ。「自社タレントのドラマ主演を勝ち取って終わり」ではなく、各局のスタッフとやり取りしながら番組PRを進めています。情報番組やバラエティ番組への番宣出演に加えて、テレビ誌や新聞などの各媒体にくまなく露出。たとえば、「〇〇には掲載されていたけど、××には掲載されていなかった」という媒体の“落ち”や“抜け”がなく、きめ細かにPRが行われているのです。
実際、私が関わっているいくつかの媒体で、ジャニーズ事務所のPR力を実感させられた経験が何度もありました。よくネット上では、「媒体側がジャニーズの顔色をうかがって提灯記事を書いている」と噂されていますが、「ジャニーズ側のPRが徹底されているため記事になりやすい(掲載を拒否する理由もない)」というのが実情。この点は、みなさんが思っている以上に、依頼や確認などの極めてアナログな作業が徹底されているのです。
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