センター前夜に受験生の親が伝えるべき言葉 受験生は「2つの大きな不安」に駆られている

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正直な話、大学受験に失敗したからといって、人生の勝ち負けが決まるわけではありません。これはどんな試験についても言えることです。いい大学に入って、大企業に終身雇用で勤めて、マイホームを持って、という従来型の幸せの構図、エリートの人生はすでに崩れていることは皆さんご存じのとおりです。

大学受験に成功していい大学に入っても将来が保証されるわけではないですし、逆を言えば失敗したからといって失敗が決定付けられるわけではないのです。こうしたことは、大人になった今でこそわかることです。

でも、受験生は、「志望校に受かる」ということだけが目的になっていますので、視野が非常に狭いです。目標に集中するという意味ではプラスの面もあるのですが、足元だけ見ていてはつまずいてしまいます。親としては、別の視点を与えてあげることが重要です。

「勉強したことそれ自体がすばらしいのだ。結果はコントロールできないから気にするな」
「志望校に受かったほうがいいけど、◯◯くんの価値はそれで決まらないから、気軽に受けてみなよ」

こういった言葉をかけることで励みになります。

「受からないと落ちこぼれだ」などと言えば、変なプレッシャーが増大するだけで、プラスの効果など何もありません。親の考えの押し付けはここでもNGなのです。

試験後の慰労が子どもにとってのスーパー銭湯

こうした言葉をかけても、不安がゼロになることはありません。まじめに勉強をしてきた受験生ほど、試験当日は落ちる不安に駆られることでしょう。そんなとき、親としては、いつもどおり、気持ちよく送り出してやりましょう。気合を入れて朝からカツ丼など食べさせてはリズムが狂ってしまいますのでいつもどおりが吉です。

「試験終わったら◯◯行こう」「お疲れ様で◯◯買ってあげる」といった形で、全力で取り組んだことを慰労してあげる姿勢を見せることが、オアシス、否、子どもにとってのスーパー銭湯としての親の責務でしょう。皆さまのお子さんが今年の受験に成功されることを祈っています。

鬼頭 政人 資格スクエア創業者、弁護士

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きとう まさと / Masato Kito

1981年生まれ。開成中学、開成高校を特別優等の成績で卒業後、東京大学文科1類(法学部)に現役で合格。同大学法学部卒業後、慶應義塾大学法科大学院に現役で進学し、同大学院在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内の法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を多面的に支援したいと考え投資ファンドに転職した後、22013年12月に資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業、その後、ワンストップ電子契約サービス「NINJA SIGN」(後にfreeeサインと名称変更)も創業。著書に『東大合格者が実践している 絶対飽きない勉強法』など。

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