居酒屋を襲う「ビール値上げ」のダブルパンチ プレモルは価格据え置きで居酒屋にも明暗

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

スーパーなどの小売店では法施行直後に影響が出た。小売物価統計調査によると6月に店頭でのビール6缶パックの価格は約6%上昇している。これに対して、競合が激しい外食店では値上げが客離れにつながりかねないため、「どこが先に値上げするのか様子見し合っていた」(都内居酒屋チェーンのオーナー)。

小売店から数カ月遅れの9月から10月にかけ、ハイデイ日高が展開するラーメン店の「日高屋」や焼き鳥店の「鳥貴族」などで値上げが相次いだ。一方で、いまだに仕入れ価格の上昇分を価格に転嫁できずにそのまま吸収している外食店も多い。

プレモルは逆張り

外食店にとり来年のメーカー値上げは、酒税法改正の影響に加えてダブルパンチの仕入れ価格上昇につながる。

そんな中、サントリーのプレモルを扱う外食店はひとまずダブルパンチは避けられた格好だ。冒頭の飲食チェーン首脳と同様にプレモルを扱う鳥貴族の購買担当者も、「今回のことに関しては、うちはほとんど無関係だから」と余裕を見せる。

なぜ、プレモルの価格は据え置くのか。理由の1つは、もともとの価格設定にある。

メーカー各社が値上げの理由に挙げるのは、物流費の高騰だ。メーカーの総販売原価に含まれる物流費は、ドライバー不足で高騰を続けている。居酒屋向けではビール瓶も生ビール用の樽も回収する必要があり、その必要がない缶製品よりも物流コストがかさむのだ。「一部ではすでに総販売原価を割っている製品もあった」(アサヒ)。

対してサントリーは「プレモルは高価格帯の製品で、物流コスト増の影響を吸収できる」(会社側)としている。「プレモルの仕入れ価格は他社のビールより1割程度高い」(都内居酒屋チェーンのオーナー)という価格設定であり、総販売原価が販売価格を上回らないため値上げの必要がないという理由だ。

次ページビール離れが止まらない
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事