中国自動車メーカー、ついに欧米市場進出か 定額制で短期レンタルする事業計画も
[北京 15日 ロイター] - 着々と力を蓄えてきた中国の自動車メーカーが、かつて遠い夢だった欧米市場への進出を目論むようになってきた。デザインや技術、販売方法の改善を通じて世界最大の自動車市場である本国でシェアを拡大した各社は、欧米でも戦えると自信を深めている。
「われわれ西側世界はあまりにも傲慢だ。自分の方が進んでいると思っているが、状況は変わるだろう」と語るのは、吉利汽車(ジーリー)<0175.HK>が設立した新たな自動車ブランド「リンク・アンド・カンパニー(Lynk & Co)」のアラン・ビサー上席バイスプレジデントだ。
「中国は、傲慢なわれわれの目には止まらないほどのスピードで追い抜こうとしている」と話した。
吉利はボルボ・カー・グループやロータスを傘下に収め、「ブラックキャブ」と呼ばれるロンドンのタクシーを製造。2019年には欧州、20年には米国での販売開始を狙っている。
直営店やオンラインで販売へ
先陣を切るのは、ボルボと共同でスウェーデンで設立したリンク。欧米での販売は、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、電気自動車(EV)などの環境車に絞り、主に直営店やオンラインで売る方針だ。
広州汽車集団<601238.SS>の子会社であるGACモーターは、2019年末までの米国進出を視野に入れており、この市場では吉利に先んじるかもしれない。ただ、リンクと違って伝統的な流通網やフランチャイズ店を通じて販売する可能性が高い。
むろん道のりは険しいだろう。
JDパワー・アンド・アソシエーツのシニアディレクター、ジェフ・カイ氏は「米国のような市場で一番の障害になるのは、中国製品に対する消費者の偏見だ。わが社の調査によると、大半の米消費者は中国のことを粗悪品を作る第三世界の国だと思っている」と話した。
中国から米国への自動車輸出には、トランプ大統領が攻撃する中国の対米貿易黒字という問題も関わってくる。