相撲協会の対応は、なぜこうも非常識なのか

協会に不足しているのは「共感する能力」だ

大相撲を巡る不祥事は以前よりあったが、近年、特に2007年に『週刊現代』が八百長告発を行ったあたりからは、力士暴行死事件、大麻事件、野球賭博事件など度重なる醜聞が露呈するようになった。

以前からそうした問題は存在したのかも知れないが、“環境”の変化によって、不祥事を抑え込み内部に留めることが難しくなってきたのだろう。

環境は変化している。とりわけ情報伝達の速度は早く、また大きな組織から見ると取るに足らない個人であっても、時にSNSなどで発言が注目され、瞬く間に考え方が広がっていくのが現代だ。

時代の変化を読み取れない組織が“延焼”を促進

日馬富士による暴行傷害事件における日本相撲協会の対応、広報、あるいは事件を取り巻く人物の行動や発言を見ていると、そうした環境変化を正しく認知できず、結果として世論の強い反発を招いている。非ネット時代であれば、あっという間に風化し、単なる“週刊誌ネタ”だけですぐに終息したのだろうが、今は報道する側もネットで世の中の反応をリアルタイムで感じながら伝え方を考えている。

筆者はこうしてITやネットカルチャーをテーマにしたメルマガを書かせていただいているが、今回のケース、もちろん暴力による傷害事件を軽く扱うことは問題だが、一方で協会の“コミュニケーション下手”にも、問題を大きくする原因があると感じた。

日本相撲協会の対応、あるいは協会員である力士たちの対応でもっとも良くないのが、“自分たちの常識”が世の中の多くの人の感覚とズレていることを認識できていないことだ。ズレを認識できていないため、誤った言葉や行動を選び、事を収めようとしているのに、なおさら炎上するといったことを繰り返す。

日々、稽古で研鑽を積んでいる力士たちに、一般常識と角界の常識の違いを把握するのは難しいのではないか、という話もあるが、協会理事や部屋の親方たちには力士たちが活躍する環境を作る責任がある。当然ながら“協会の中”と“協会の外”の考え方や物事の捉え方が異なることを充分承知した上で弟子たちを指導し、危機発生時の言動や行動をすべきだ。いや、そもそも問題発生の温床となる悪しき習慣を断つといった改革を行うべきだ。

中でも筆者が“象徴的”と感じたのは、日馬富士の引退会見である。

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