墜ちた名門「神戸製鋼」のあきれかえる言い訳

経営陣が重視したのは「儲けているか」だけ

加古川製鉄所への高炉集約で収益力強化を図った矢先での不正発覚だった(撮影:ヒラオカスタジオ)

実は昨年にもグループ会社において、ばね用ステンレス鋼線の試験値を改ざんしていたことが明らかになり、JIS(日本工業規格)認証を取り消されている。神鋼は問題が起こるたびに謝罪しているが、昨年に続く今回の不祥事。根本的な企業体質は、まったく変わっていないといわざるをえない。

「中小企業がそのまま大きくなった会社が神鋼だ。組織や社内規定、業務の進め方がまったく近代化されていない」。神鋼をよく知る大手商社OBはそう話す。「本流といえる鉄鋼事業、亜流のアルミ銅や機械事業などがまったく別の会社のようだった。部門間の確執も深く、収益を上げるために事業部門ごとに無理をしてきた結果だろう」。かつて神鋼と取引があった大手商社マンは品質データ改ざんの原因を分析する。

自主廃業に追い込まれた山一証券に重ねる

神鋼に詳しいメガバンクOBは、神鋼の姿を自主廃業に追い込まれた山一証券に重ねる。山一は顧客への運用利回り保証や損失補塡で生じた含み損を、簿外債務として子会社に移すことによって隠蔽を図り、経営破綻した。

「山一はバブル時代の成功体験もあって、数字さえ上がれば何をやっても許されるという収益至上主義に走った。不正が多く行われていた神鋼のアルミ・銅事業も近年は業績が上向いており、経営陣の方針もあって、収益を最優先する意識が現場にも働いたのではないか」(メガバンクOB)。

公表した再発防止策には、「品質はコストや納期に優先する」「言いたいことが言える活気ある職場風土づくり」「試験データの記録を自動化」といった文言が並ぶ。だがどれも「そんなことさえ取り組んでいなかったのか」という情けない内容ばかりだ。

今回の不祥事で川崎博也会長兼社長の引責辞任を求める声は多いが、トップの首をすげ替えるだけでは意味がないというのは、過去を見ても明らかだ。企業体質を変えるためには、そうとうな荒療治が必要になる。第三者の弁護士3人で構成される外部調査委員会は、年内にも報告書を発表する予定だ。それを契機に変われなければ、今度こそ本当に後がなくなる。

『週刊東洋経済』11月27日発売号の特集は「沈む神戸製鋼」です。
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