神戸鋼不正拡大、自主点検の信頼性に疑問符 2週間程度で安全性の検証結果を公表へ

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経済産業省は12日、2週間程度で安全性の検証結果を公表することを指示した。同社は、納入先の企業に生データを提供するなどし、納入先の企業が進めている安全性の確認をサポートしている。約500社とした納入先のうち、どの程度の確認が取れているのかについて、勝川常務は「まだ、先が見えていない状況。何社終わっているかは差し控える。500社には全て連絡して、打ち合わせを始めた」という。

梅原副社長によると、定期点検の際に交換するものの「危険なのですぐ交換してくれ、使えないという話は今のところない 」という。

ただ、データ改ざんの程度を問われ「それぞれの検査項目で数字は違うし、インパクトは違う。一概に何%とは言えない」と述べるにとどめた。納入契約した数値と、実際に納入した製品の数値がどの程度乖離(かいり)しているか明らかになっておらず、不透明感がぬぐえない要因となっている。

新たな不正事案も

新たなに確認したのは、鉄骨・橋梁・輸送機器分野以外の厚板加工品。出荷先は1社で、出荷量は3793トン(2015年11月から17年9月出荷)。厚板測定の一部未実施、厚板測定データのねつ造が行われていた。これについては、厚板の原板の工場出荷の段階で厚さが保証されており、安全性に問題はないとしている。

また、日本工業規格(JIS)のJISマークを表示しているものについて、19日から、JIS認証機関である日本品質保証機構(JQA)の審査を受けたことを明らかにした。コベルコマテリアル鋼管(KMCT社)の秦野工場で、JIS規格を満たしている引張強度や結晶粒度の検査証明書のデータの書き換えを行っていた。これは、検査結果をJIS規格よりも厳しい社内規格を満たすために書き換えていた。

また、自主点検期間より前の出荷製品についても、JIS規格を満たさないものがあるとの指摘を受けており、現在、内容を確認しているという。

これまでは法令違反はないとしていたが、JIS規格に反していると、法令違反となる。

さらに新しい事案が出てくる可能性について、梅原副社長は「全くありませんとは言い切れない。点検を進める中であり得るかなと思っている」と述べた。

進退を問われた梅原副社長は「安全性の検証、原因究明・対策きちんとやるのが責任」と述べた。

(清水律子 志田義寧)

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