オリンパス、ミラーレス特化で敷く背水の陣 一眼レフは開発凍結、コンパクトも高級機に絞り込み

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今回、想定価格14万5000円程度と高価格帯の「OM-D E-M1」を投入した視線の先には、一眼レフ中級機の市場がある。よりきれいな写真を撮影したいというカメラ愛好者のステップアップ需要を取り込むこの分野は、キヤノン、ニコンの独壇場だ。オリンパスは、イメージセンサーや画像処理エンジンの性能向上で高画質を追求しながら、小型・軽量、防塵防滴のミラーレス新製品で差別化。一眼レフ中級機ユーザーの奪取を狙う。

ニコンはミラーレス不振で出荷計画を下方修正

ただ、ミラーレスをめぐる外部環境が厳しさを増していることも事実だ。ニコンは8月に発表した2013年4~6月期(第1四半期)決算の発表に併せて、一眼レフとミラーレスを合わせたレンズ交換式カメラの出荷台数計画を,従来の710万台から655万台に下方修正。そのほとんどはミラーレスの台数減が要因で、ミラーレスの商品計画自体の見直しを余儀なくされている。

ある大手カメラメーカー幹部も、「市場成長率が高いとはいえ、ミラーレスは世界全体で年間400万台程度の狭い市場で8社が競い合っている。単体では採算がとれない」と嘆く。

オリンパスは中計にこうした厳しい環境も織り込んでいるが、「想定していない環境の変化があれば計画を見直していかざるを得ない」と、笹社長は含みも持たせる。

そもそも、オリンパス全社の今期計画では、売上高で65%、営業利益では実に142%を世界シェア7割以上の消化器内視鏡を中心とした医療事業が占め、他部門の赤字を補う算段。デジカメ事業の計画は売上高が全社売上の15%、利益は収支均衡圏の想定だ。中期的に牽引役と想定するミラーレスが期待通りの収益を稼げなければ、デジカメ事業はいよいよ窮地に追い込まれる。負けられない勝負が始まっている。

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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