策に溺れた?漂流する「小池劇場」の行方

「排除発言」は大失態だったのか

前出の大下さんは、少し違う見方をしている。

「もともと、解散を受けた大ばくち。小池氏は政治家としての安倍氏を全く評価しておらず、干された恨みもある。小池氏に不幸があるとしたら、優れた3人の政治家を知っているために他の政治家を見下してしまい、それが周囲にも伝わっているということでは」

「排除」発言は、権力に立ち向かう姿を演出するのではなく、彼女自身が権力を体現してしまった瞬間だ、と言う。

「信頼してほしかった」

小池氏には、安倍氏との確執を指摘する声のほか、「女性を超越している」「男性には可愛げがないと映ることもあるのでは」という政治記者らの指摘も相次ぐ。

小池氏に近い関係者は、「女性であることの酸いも甘いも経験してきたが、決して女性を武器にはしない人」と語る。

「強い女性といっても、生半可な強さではない。女性活躍には本気で取り組んでいて、頑張っている女性は全力で応援するし、自身で叶わなかったことだからか、女性の出産や子育て支援のサポートにも、力を入れている」

離党した上田都議も、小池氏の女性を支援する気持ちの強さを感じたひとりだ。

「里親推進、動物愛護、保育園や待機児童の問題に予算をつけ、トップらしい制度改革を行ってくれた」(上田都議)

離党した2人の都議が小池氏への要望として口をそろえるのは、小池氏に「もっと周囲を信頼してほしかった」ということだ。

ある都政関係者は、「人を信じられない人。過去を考えれば、致し方ない面もある。そのために切り捨てた人材があまりに多い。典型的な女王バチ症候群では」と言う。

もしも、もっと人を信じていたら、全体を巻き込んで大きな力になっていたら、違う道が開けていたのか。

今回の選挙には立たなかったが、小池氏の野心は消えないと、多くの政治評論家たちは口をそろえる。期待する声もある。

「都政と国政を行き来することは悪いことではない。維新の会の例もある。彼女は政治を諦めていた人たちを巻き込んだ本当のムーブメントを起こせる希代の政治家だと思う」(上田都議)

小池氏はどこへ向かうのか。彼女は「インシャラー(神のみぞ知る)」と回答したが、それは本人のみぞ知ることだ。

(編集部・熊澤志保)

※AERA 2017年10月23日号

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