広陵野球部の国体優勝担った複数投手の厚み 高校野球は「エースと心中する」時代ではない

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この国体で3日連続の3連投をした投手がいる。東海大菅生(東京)の背番号1を背負う松本健吾だ。7日に行われた三本松(香川)戦に先発(6回、63球)、翌日の盛岡大付(岩手)戦でリリーフ登板(2回、25球)、3日目の準決勝・広陵戦でも2回(42球)を投げている。準決勝で広陵に敗れたあと、松本はこう言った。「中学時代に、3日連続で投げたことはありますが高校では初めてでした。トレーニングや投げ込みが不足しているので厳しいものがありましたが、夏までの自分なら大丈夫だったと思います」。

エースの松本を擁する東海大菅生は、7月の西東京大会決勝で清宮幸太郎のいる早稲田実業を下して甲子園に出場。準決勝で花咲徳栄(埼玉)に敗れたものの、見事にベスト4入り。松本は2回戦の高岡商業(富山)戦に先発して9回完投(133球)、3回戦のマウンドは2年生の戸田懐生に任せ、準々決勝・三本松(香川)戦で8回(89球)、準決勝・花咲徳栄戦で6回(104球)を投げた。

「東海大菅生にはほかにもいいピッチャーがいるので、試合で投げすぎるということはありませんでした。もし、球数制限によって登板の機会が与えられなかったとしたら、つらいでしょうね。ピッチャーならば、自分で試合を決めたい。大事な場面で投げたいと思うもの。背番号1を背負うエースならばなおさらその気持ちは強いはずです」(松本)

もう「エースと心中」という時代ではない。複数の投手がいなければ勝ち上がれないことは甲子園で好成績を残したチームが証明している。分業制がさらに進めば、戦力の豊富な私立強豪校がますます優位になるだろう。そのときに、投手のプライドやエースの矜持はどうなるのか? まだまだ答えは見つかりそうにない。
                          (文中敬称略)

元永 知宏 スポーツライター

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もとなが ともひろ / Tomohiro Motonaga

1968年、愛媛県生まれ。立教大学野球部4年時に、23年ぶりの東京六大学リーグ優勝を経験。大学卒業後、ぴあ、KADOKAWAなど出版社勤務を経て、フリーランスに。直近の著書は『荒木大輔のいた1980年の甲子園』(集英社)、同8月に『補欠の力 広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?』(ぴあ)。19年11月に『近鉄魂とはなんだったのか? 最後の選手会長・礒部公一と探る』(集英社)。2018年から愛媛新聞社が発行する愛媛のスポーツマガジン『E-dge』(エッジ)の創刊編集長。

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