広陵野球部の国体優勝担った複数投手の厚み 高校野球は「エースと心中する」時代ではない
7日に行われた済美戦では、徳山が5回(82球)、香川麗爾が2回、吉峰丈太郎が2回(23球)を投げた。8日の2回戦・花咲徳栄(埼玉)戦では、先発した2年生の柿木蓮が6回(102球)を投げたあと、吉峰がリリーフに立った3回(41球)を投げた。
3日目の準決勝・津田学園(三重)にはそれまで野手として出場していた2年生の根尾昴が先発登板し、83球で完封(5回コールド勝ち)。そして、広陵との決勝戦にはエースの徳山が中1日で先発マウンドに上がった(6回、116球)。過密日程でも大阪桐蔭が無理なく投手を配置できるのは、豊富な投手陣をそろえているからだ。
広陵を支えるのは2人の実力派左腕
優勝した広陵もまた理想的だった。エースの平元銀次郎は8日の初戦・天理(奈良)戦でリリーフ登板(1回1/3、15球)。9日の準決勝・東海大菅生(東京)で8回(120球)を投げたが、午後から行われた決勝戦では登板することがなかった。エース同様に頼れる投手・山本雅也がいるからだ。天理戦で先発して4回(60球)を投げた山本は東海大菅生戦の登板はなし。決勝戦で再びマウンドに上がり、強打の大阪桐蔭を相手に完投勝ちをおさめた(9回、133球)。これも、力量のある投手が2人もいるからできる芸当だ。
広陵の中井哲之監督は準決勝のあとにこう語っていた。「国体はどうしても日程がきついので、ピッチャーは球数を減らさないと優勝できません。午前中の準決勝で先発した平元は120球も投げましたが、決勝戦でいい場面があれば投げさせます」。
実際には、平元を温存したまま、初めての国体制覇を成し遂げた。大阪桐蔭や広陵のように、信頼できる投手を複数そろえられるチームがどれだけあるのか? 投手に負担をかけずに勝利を積み重ねるのは至難の業だ。
投手の疲労や負担の程度は、外からではなかなかわからない。体力と気力の両面をしっかり見ながら、ベンチにいる監督が判断することになる。だからこそ、指導者の責任は重い。春のセンバツで3試合475球を投げた福岡大大濠(福岡)のエース・三浦銀二は、監督の判断で準々決勝の登板を回避した。敗戦後に三浦は「投げるつもりで準備していた。投げないで負けるほうが悔しい。どこも痛くないし、投げられる状態だった。本人が投げられると言えば投げてもいいと思う」と語った。
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