家賃4万円風呂なし、AV女優の過酷すぎる貧困 16年前と比べて月収は85%も減っている

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AV業界は元々、暴力性が背景にある関係者による出演強要などは当たり前だった。地下に潜ってしまえば、未成年どころか、潜在的には最も需要が多そうな女子児童さえも続々と被害にあうかもしれない。

実際に2000年代半ばに世間を震撼させた「関西援交」グループは小中学生の女子児童を続々と無修正の裏ビデオに出演させて、輪姦、生本番、中出し漬けにしてわいせつ映像を全国にバラ撒いた。社会問題化したことで映像はインターネットでさらなる拡散をして、最終的には数人の子供の自殺者まで出している。

「関西援交」グループは中年サラリーマンの面白半分の副業だったが、AV業界を失った関係者が地下に潜り、そのような高い需要のあるリスクある映像制作に着手する可能性はある。グレーなりにも産業として成り立っていることで、未成年児童の出演に歯止めがかかっているのは、社会として大きな利点の一つなのだ。

地下AV業界内部でのトラブルは間違いなく多発する

本記事は中村淳彦氏の最新刊『AV女優消滅 セックス労働から逃げ出す女たち』からの一部転載です(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

さらに女性の取り合いや人材獲得トラブルで、地下AV業界内部での傷害、脅迫、恐喝は間違いなく多発する。実際にAV業界がグレーからホワイト化するのを嫌って、荒れた状況になるのを待つ関係者もいる。

荒廃は目に浮かぶ。男性視聴者の需要に応える現在のスタンスが踏襲されれば、騙されて誘導された女性を相手に了承のない異常な性行為をし放題、さらに地下経済なので売り上げは反社会勢力へと流れて、薬物が蔓延し、海外への人身売買や臓器売買などのビジネスに発展するかもしれない。

現在の起こってしまった出演強要に過剰にこだわって、表面的な実態を知った市民が正義感で産業全体を潰しても、意味がないどころか、新たな危険とさらなる被害者を生む本末転倒の事態となる可能性が高いのだ。AV業界を潰すだけでは絶対に丸くはおさまらない。「AV業界は女優以外の関係者のセーフティネット」という現実は、出演強要撲滅を考える上で外すことのできない事実といえる。

中村 淳彦 ノンフィクションライター

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なかむら あつひこ / Atsuhiko Nakamura

貧困や介護、AV女優や風俗など、社会問題をフィールドワークに取材・執筆を続けるノンフィクションライター。現実を可視化するために、貧困、虐待、精神疾患、借金、自傷、人身売買など、さまざまな過酷な話に、ひたすら耳を傾け続けてつづけている。著書に『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)、『崩壊する介護現場』(ベストセラーズ)、『日本の風俗嬢』(新潮社)、『名前のない女たち』シリーズ(宝島社)など多数。Twitterアカウント「@atu_nakamura」

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