トランプ大統領、「NFL選手を侮辱」の深刻度 言うに事欠き「Son of a bitch!」と煽った

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さて、市場に目を移してみても、危ない要素が出てきています。FRB(米連邦準備制度理事会)は利上げ、バランスシートの縮小、と明確に方針を出していますが、市場は今のところまったく動揺しておらず、株価は連日市場最高値を更新しております。

しかし、これはジャネット・イエレン議長の絶妙な手綱さばきを市場が信頼していればこそでありまして、一方でイエレン議長は減税そのものに反対です。また、そのほかの政策(たとえば移民制限)についても反対を表明しており、トランプ大統領は次期議長には指名しない、と思われます。イエレン議長不在の市場がはたして今のように落ち着いていられるのかどうか、これもまったく不明でしょう。その意味ではトランプ政権はいよいよ正念場を迎えたといっていいかもしれません。

正念場、ということからいうと、トランプ大統領とNFL(ナショナル・フットボールリーグ)の問題も日本で報道されるよりも、アメリカでははるかに深刻で、大事件になりつつあります。

ことは昨年、NFLで国歌斉唱の際に起立を拒んだコリン・キャパニック選手の行為に端を発します。キャパニックはアフリカ系アメリカ人が白人警官に射殺される事件が立て続けに起こった背景に人種差別があると判断し、それに抗議するために国歌斉唱の際に片ひざをつきました。彼の主張は人種差別がはびこるこの国の国歌は敬意に値しないというもので、それに賛同して同様の行為を行う選手が少なからずいたのです。

安倍首相が力士に向かって、同じように語ったら?

この行為をおかしい、とした意見もアメリカではかなりあったのですが、あくまでも個人的な問題として、いわゆる不問に付す形でNFLオーナーたちはやり過ごしてきました。ところがまた、「トランプ大魔王」が火をつけてしまい、9月22日、アラバマ州ハンツビルで行われた政治集会で、国歌斉唱の際に起立を拒むNFL選手をやり玉に挙げ、「オーナーは彼らをクビにすべきだ」と発言したのです。これは大きなニュースとなり、日本でも広く報道されたわけですが、その際にトランプ大統領は言うに事欠き、NFL選手に対し「Son of a bitch!」と呼んだのです。

これはご存じのように、最上級の侮辱語でありまして、直訳すれば「売春婦の息子め!」となるので日本語ではイマイチ強烈感がないのですが、アメリカ人に向かってこの言葉を発すれば、発砲されても正当防衛になるくらいの侮辱語です。当然テレビでも規制されていますし、いわゆる「ピー音」を被せる言葉の1つです。それを、一国の大統領が、しかも公衆の面前で使い、そのターゲットがNFL選手なわけですから、これはもう、タダで収まるはずもありません。

アメリカンフットボールはアメリカの国技と言っていいもので、その選手を最大級の侮辱語で罵ったわけで、この問題も間違いなく、今後尾を引くものと思われます(たとえば安倍晋三首相が横綱の白鵬に「このデブが!……」と言ったら間違いなく退陣問題になるんじゃないでしょうかね)。ということで、迷走する「トランプ丸」、もう毎週でもトランプ関連記事は書けそうな勢いです。困ったもんであります。

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