日本人が知らずにしている外国人差別の実態 無意識のうちに観光客を傷つけていないか
外国で生活した経験のない人、あるいは自国でマイノリティとしての生活を経験したことがない人に、この概念を理解するのは難しいかもしれない。
では、こう考えてみてはどうだろうか。
自分が、背が低い人だとしよう。誰に出会っても、銀行、レストラン、ガソリンスタンド、バーなど場所に関係なく「おチビさん」と呼ばれたらどう思うだろう。それか、自分の歯並びが悪いとしよう。話す人みんなに「クレイジーな歯」と呼ばれたらどう感じるだろうか。あるいは、ちょっと太っているだけで、知らない人からも「おデブさん」と言われたとしたら……。
外国人というだけでウソつき呼ばわり
こうした行動を、「日本ではこうなんだ」と言って正当化しようとする人もいるだろう。しかし、結局のところ、加害者ではなく被害者が、その言動が差別なのかどうかを決めることができるのだ。
もう少し、日本人による「悪意なき差別」の事例を紹介しよう。私の知り合いのアメリカ人、Aさんは九州の主要な鉄道会社の駅で最近不公平な扱いを受けた。Aさんは福岡に長く住んでいて、流暢な日本語を話す。
ある日、電車を降りた後、彼は改札窓口へ向かった。切符の運賃が違ったので、差額を払おうとしたからだ。駅員に近づいて、要件を説明しようとしたとき、駅員は顔をしかめて、こう言った。「しばらく電車を乗り回っていたんでしょう? この切符の入場時間を見てください!」
入場してからかなりの時間が経っていたのは事実だった。でも、それはAさんが重要な仕事の電話を取らなければならなかったからだ。それを説明しようとすると、駅員は「ウソをつくな」と言って、激しい脅しの表情でAさんをにらみ続けながら、小さなゴミ箱を手に取りAさんの切符をゴミ箱に投げ入れた。そして再び「ウソをつくな。もう出て行け」と不愛想にやり取りを終えた。Aさんは事情を説明する間もなく、ウソつき呼ばわりされ、自分を弁護する機会もなく出て行けと言われたのである。
Aさんはその会社に苦情を出した。駅員は気乗りしない様子で謝罪した。しかし、謝ったすぐ後に「外国人だから仕方なんじゃないですか」と言い放った。その駅員は、今でもAさんが電車を乗るときににらみつける。その会社は、状況を正し、この社員を教育することなど何もしなかった。
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