ルノー・日産・三菱連合、「EV首位固め」の気炎 ゴーン氏はEV戦国時代をどう戦うのか

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ただ足元は追い風が吹いている。世界的な環境規制で、英仏両政府は2040年までにガソリン車販売を禁止すると決めたほか、世界2大市場である中国と米国もEV優遇に大きく舵を切ってきた。これに各自動車メーカーも呼応。独フォルクスワーゲンは今月、2025年までにEVとプラグインハイブリッド車(PHEV)を世界で30車種販売するとしていた従来の計画を拡大し、EVだけで50車種を投入すると発表した。EVシフトの動きが速まっている。

一方、EVはガソリン車に比べて構造が単純だ。部品点数は約4割少なくなるとされ、コモディティ化(汎用品化)しやすい。参入が容易となり、競争激化を招くことは必至だ。

テスラやBYDなど新興勢力が次々台頭

米テスラが初めて普及価格帯に投入した「モデル3」。同社は2018年にEV年産50万台を見込む(写真:テスラモーターズ)

EVベンチャーの米テスラは今年7月から納車を始めたEV「モデル3」の受注台数がすでに日産リーフの累計販売台数を超えた。中国は国策として自国産業の育成を進め、BYDなど新興勢力の台頭が著しい。

これに対し、ゴーン氏は記者会見で「自動車産業はこの先10年で、過去50年よりも多くの変革を経験する」と指摘。今回の中計では、EVと親和性が高く、ドライバーの運転への関与が不要な完全自動運転を2022年に実現することや、コネクテッド技術、モビリティサービスの強化策にも併せて言及し、総合力で勝負していく考えを示した。

武器とするのがスケールメリットだ。2017年上期は3社連合で初めて世界販売台数トップに立ち、2022年までに4割増の年間1400万台に伸ばす計画だ。EVなど電動車が販売に占める割合を3割まで高め、電池コストは30%削減を目指す。浮いたコストは車の付加価値向上に回すのが“ゴーン流”だ。

100年に一度の転換期を迎えた自動車業界。先の見えない戦いが始まった。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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