速報!アップルが日本で太陽光発電を展開へ 300カ所に設置、幹部が明かす「最新環境戦略」

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アップルは自社が直接関わる活動の範囲内だけで再生可能エネルギー化を行っているだけではない。サプライヤーや委託製造先も含めたサプライチェーン全体での「再生可能エネルギー100%」を目指している。

屋根の上に設置する太陽パネルのイメージ(写真:アップル)

たとえば日本のサプライヤーであるイビデンは、アップル向けの製造に関して再生可能エネルギー化を進めている。アップルは、今後もサプライヤーの再生可能エネルギー化を支援していく考えだ。「サプライヤーの再生可能エネルギー化は大きなチャレンジ。様々な形での支援をしながら、プロジェクトを進めていきたいと考えています」(ジャクソン氏)。

日本では、ほかにも先端的な取り組みがある。神奈川県横浜市に開設する研究開発センターは、アジアにおける初の「気候変動に配慮してデザインした拠点」になるとのことだ。

アップルが目指す「未来ビジネス」とは?

ここまでクリーンエネルギーに力を入れるアップル。しかし、米国では政府とのすれ違いも生じている。米トランプ政権は、気候変動への取り組みに関して消極的だ。パリ協定は、温室効果ガス削減について、先進国だけでなく途上国とともに結んだ新しい枠組みだったが、ドナルド・トランプ大統領は「米国に不利益」としてパリ協定離脱を唱え、同盟国からも懸念の声が上がっている。

アップルに限らず、カリフォルニアに拠点を置くテクノロジー企業は、環境問題や移民の問題など、現在のトランプ政権の方針とは真逆の考えでビジネスを進めてきた。こうした政策とのギャップや懸念について、ジャクソン氏に聞いた。

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「クリーンエネルギーは、未来のビジネスの中で象徴的な存在だと考えています。米国だけでなく世界規模での気候変動への取り組みは、これまでより環境負荷が少ないだけでなく、コスト削減につながり、新しいテクノロジーや新たな製造業による雇用を生み出します。アップルは新しいアイデアで、世界を変革しようとしています。より良い製品を世に送り出すだけでなく、企業活動における気候変動への責任を示し、イニシアティブを取りながら、ビジネスを持続可能にしていくことを目指しています」

つまり、政府の戦略のブレとは関係なく、環境負荷の少ない製品づくりを目指していくということだ。ジャクソン氏は続ける。

「ティム・クックCEOが2016年3月のメディアイベントでその取り組みについて触れましたが、アップルは一貫して同じ方針の下で、気候変動への取り組みを続けています。方針を示すだけでなく、実際に再生可能エネルギー100%化を果たし、持続可能なビジネスを現実のものとする責任を持っているのです」

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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