結婚75年、ハリケーンと同名夫婦の深い絆

ハービーとアーマは足して197歳

それとは対照的に、シュルター夫妻は1940年代からずっと並んで歩んできた。出会ったきかっけは、ハービーがスポケーンで暮らすきょうだいのアパートを訪れたことで、アーマはその下の階に暮らす彼女の姉の家から高校に通っていた。

ハービーはアーマにぞっこんになったが、アーマはためらっていた。

「私はまだ学校も修了していなかった」とアーマは言う。「終わるまで待ちたかったけれど、彼はその前に結婚しようと私を説得したの」

2人は1942年に結婚。ハービーが軍に所属していたとき、短期間だけメリーランド州フォートミードに暮らし、その後ワシントン州に戻った。

ハービーが理髪師として仕事に行く間、アーマは家で孤独だった。ハービーもアーマも大家族で育っており、大勢の子どもを里親として家に迎えることは自然なことだったようだ。受け入れた子どもの多くは肉体的、精神的に障害を持っていた。3月にスポケーンの地元メディア、スポークスマンレビューに掲載された記事によると、アーマが確認したかぎり、夫妻が里子として受け入れた子どもは120人に上るという。

ハービーはスポケーン郊外のヒルヤードで「ハービーズショップ」という理髪店を創業し、45年間にわたってそこで働き続けた。だが彼は2013年にスポークスマンレビューに対し、自分の人生で最も実りのある功績は、里親になったことだと語っている(バンジョーを演奏することもだ)。

人々を助けたいけれど

ワシントン州東部に位置するスポケーンには、当然ながらハリケーンは襲来しない。シュルター夫妻も長い人生で里子を訪ねるためにキャンピングカーで各地を旅してきたが、名前がリストから外されるほど大きな被害を生んだハリケーンには遭遇したことはなかった。

アーマによれば、ワシントン州では珍しくない吹雪や地震などその他の気象事象によって深刻な被害を被った覚えはないという。夫妻はここ数日は、太平洋岸北西地区で発生した山火事の煙を避けるために、自宅にとどまっているという。

ハービーとアーマが生まれた20世紀初頭は、ラジオが発明されたばかりでケーブルテレビが普及したのはそれから何十年もあとになってからだ。21世紀になって結婚してから75年が経ち、2人はいま、死者や破壊、避難といったニュースが流れる画面に現れる自分たちの名前を見つめている。「本当に悲しい」とアーマは言う。

「自分が何をすべきかわからない。このような状況は経験したことがない」とアーマは言う。「人々を助けたいけれど、どうやって助ければいいのか」。

何十年にもわたって里子を迎えてきた人らしい考え方だ。アーマは言う。「最善と思うことをするだけ。誰かを助けることができるなら、そうするべき」。

(執筆:Jonah Engel Bromwich記者、翻訳:中丸碧)

(C)2017 The New York Times News Services 

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