区道はわずか3%、東京「無電柱化」構想の虚実 独自取材で判明した、23区の無電柱化格差
「クールビズが定着したように、当たり前だったこと(電柱がある風景)を見直すのが重要です」
7月中旬、東京都内で催された無電柱化に関する最新技術の展示会「無電柱化推進展」での一幕。小池百合子東京都知事が行った基調講演は立ち見客が出るほどの盛況ぶりだった。
無電柱化とは、電線や通信線などのケーブルを地中に埋設し、電柱を道路から撤去すること。災害時に電柱の倒れる危険がなくなるだけでなく、歩道が広くなり、景観も向上する。
都道は電柱の新設禁止
無電柱化は小池氏が衆議院議員時代から執念を燃やしていた政策だ。9月からは念願の「無電柱化推進条例」が施行される。都に無電柱化政策を推進する責務を課し、都道における電柱新設を原則禁止した。
2017年度の予算案でも無電柱化に約250億円を配分。首都高速道路中央環状線の内側や、東京五輪の競技施設周辺など、都心部で集中的に推し進める計画だ。
だが、防災やバリアフリー化が必要なのは都道に限らない。身近な生活道路である区道も重要だ。
都が無電柱化の対象とする都道は23区内で1288キロメートル。無電柱化率は約55%(2016年3月末時点、以下同)に上る。
他方で23区が管理する区道は総延長1万0621キロメートルもある。23区すべてに無電柱化状況を問い合わせ、独自に集計したところ、全区道の無電柱化は約370キロメートル、比率にしてわずか3%強にとどまることが明らかになった。
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