風見しんごが初告白した「娘の死」からの10年 さらなる悲劇、それでも家族は強く生きる
「バタバタはしてましたけど、そのバタバタが楽しいというか幸せな時間でしたね」(尚子さん)
まさに絵に書いたような幸せな家庭。そんな一家を“あの悲劇”が襲う。
長女が突然の交通事故死
その日は、いつもと変わらぬ朝だった。いつものように、尚子さんは長女えみるちゃんが大好きな「ツナサンド」をつくり、学校へ送り出し。その幸せな日常のひとコマはわずか数分後に崩れ去った。
娘を送り出し、ホッとしている尚子さんの下に来た1本の知らせ。えみるちゃんが交通事故に遭ったという。慌てて、眠る夫を叩き起こし、夫婦は事故現場へと走った。
「どこかケガをして、泣いていたりするのかなという気持ちで行ったんですけれど、行ったらどこにもいなくて……」(尚子さん)
「(事故を起こした車は)まだエンジンがかかったままで不自然な形で停まっていました。車の下をのぞいたら後輪の間から足が見えて…。履いていたスニーカーが僕がえみるに買ってやったスニーカーだったので……あ、ここにいたのかと思って……」(風見さん)
病院に運ばれた時、すでにえみるちゃんの心臓は停止寸前だった。
「頑張って!」
「えみる!」
「お願い!頑張って!」
夫婦は何度も何度も、返事のない娘に呼びかけた。
「事故にあったのが8時8分だったんですけど、最後、息を引き取ったのが9時33分だから、約1時間半。すごく頑張ってくれた。頑張ってくれました。あんな小さな体でね…」(風見さん)
享年10。あまりにも突然すぎる、愛する娘との別れ。
妻・尚子さんには、拭い去れない「後悔」がある。
「どうして最後ぐらい、『もう頑張らなくてもいいよ』って言ってあげられなかったんだろう」(尚子さん)
尚子さんは、えみるちゃんが幼い頃から、えみるちゃんに「頑張れ!」と言ってきた。
「それこそハイハイするのも頑張れ!立っちするのも頑張れ!頑張ってお友達いっぱい作ってね!勉強も頑張って!明日のテスト頑張るのよ!運動会頑張ってね!って、ずっと頑張れ頑張れって言い続けてしまったので」(尚子さん)
あの事故の日も、尚子さんは必死に「頑張れ」と声をかけ続けた。その母の呼びかけに応えるかのように、えみるちゃんは心肺停止となったあと、一瞬だけ、息を吹き返したという。
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