タカタ破綻で注目、「エアバッグ」生産の裏側

躍進する業界2位、日本プラストの工場へ潜入

日本プラストの開発拠点で行われているエアバッグの「スレッド試験」。衝突時の展開性能を測っている(写真:日本プラスト)

「発射します。3、2、1、ドーン!」

自動車のフレームを載せた台車が激しく動くと、運転席のエアバッグが大きな音を立てて展開し、シートベルトを締めたダミー人形の上半身を受け止めた。

エアバッグは車の衝突事故の際、瞬時に膨らみ、シートベルトと合わせて乗員への衝撃を緩和する安全装備だ。衝突をセンサーが感知し、エアバッグが膨らみ、しぼむまでにかかる時間は、わずか0.02~0.03秒。0.1~0.2秒とされる人間のまばたきよりも短い時間で作動する。

富士山のふもと、静岡県富士宮市に本拠を構える自動車部品メーカーの日本プラスト。7月中旬、同社の開発拠点でエアバッグの展開実験が行われていた。周辺に点在する工場でエアバッグやステアリング(ハンドル)、樹脂部品などを生産し、日産自動車やホンダ、スズキを中心に供給している。

日本プラストは運転席のエアバッグで国内シェア15%の2位、助手席のシェアは約5%で5位。この両方で国内トップシェアを握るのが、トヨタ自動車系列の豊田合成だ。

知られざるエアバッグの仕組み

タカタの経営破綻で注目を集めたエアバッグだが、その仕組みは消費者にあまり知られていない。エアバッグシステムは主に衝突を感知する加速度センサー、エアバッグ展開の判断を行うコンピュータであるECU(電子制御装置)、ガスを発生させるインフレーター、そしてナイロン繊維でできた白いバッグによって構成される。

衝突によりECUがエアバッグを膨らませる必要があると判断した場合、インフレーターの火薬に着火。燃焼による化学反応でガスが発生し、エアバッグが膨らむ。

タカタを破綻に追い込んだのは、インフレーターだった。火薬原料として使われた硝酸アンモニウムが高温多湿環境で劣化したことにより、異常破裂を起こし、大規模リコールにつながったのだ。エアバッグとインフレーターが一体になったエアバッグモジュールを生産する国内大手のうち、タカタは唯一、インフレーターも内製していた。

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