内閣改造しても今の安倍政権に足りないもの 丹羽宇一郎・前伊藤忠商事会長が「警鐘」
そもそも「民主主義とは何か?」と言われて、今わかりやすく答えられる人はどれだけいるだろうか。私に言わせれば、長い権力闘争を経て、英国の名誉革命(1688年)の時に国民的な人権が確立されたが、これが民主主義のなりたちかもしれない。
今はその西欧型の民主主義が危機に陥っている。形だけなら、どの国だって民主主義体制だ。中国の習近平国家主席やロシアのウラジーミル・プーチン大統領だって、「わが国は民主主義国家だ」と標榜している。少なくとも「表舞台」や「看板」は、みなそういうふうに見える。
一度失った国民の信頼を取り戻すのは簡単ではない
だが、選挙など形式や手続きを踏んではいるが、大半の政権は「民主主義の仮面」をかぶっているだけになっていると酷評する人もいる。
米国の大統領選挙で政界未経験のトランプ大統領が誕生した。既存の政治が国民の信を失ったからだとも言える。英国、フランスの例を見てもわかるように、世界の既存の政治には、国民の不信感が強まっている。
昔は表舞台だけしか見えなかったが、今はネット社会になったこともあり、国民は「舞台裏」を見るようになってしまっているからだ。国民からの信頼をかろうじてつなぎとめているのはドイツのアンゲラ・メルケル政権くらいなものだと言う人が多い。
一度失った国民の信頼を取り戻すのは簡単ではない。米国のトランプ政権のように、「人事異動」をやっても、同じコップの中をグルグルとかき混ぜているだけのような状態となる。本当の信頼を取り戻すことはできないだろう。小池百合子・東京都知事も、今回の東京都議会選挙では都民から絶大な信頼を得たが、仮に「長期政権」「国政復帰」となれば、諫言の士が欠かせなくなるだろう。
では、国民は何を求めているのか。決して難しいことを要求してはいない。「うそをつかない人」「倫理観がある人」を求めているだけだ。日本の政権の中枢にそれがあるのか。今、それが問われている。
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