ユニクロ「エアリズム」が猛暑でも快適な理由 大ヒット機能性肌着に生きる東レの技術力

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そうしたユニクロとの取引で東レの繊維事業は鍛えられたと言えるが、渡橋氏は、意識面や商売のやり方も大きく変わったという。「かつての東レは、『こんなすごい糸、生地ができました』と。しかし、いちばん大事なのは、その技術でどんな商品を作れば消費者に喜んでもらえるか。ユニクロとの提携を通じて、消費者にとっての価値を真っ先に考える習慣が身に付いた」。

今年、春・夏シーズンで大ヒットした男性用の「感動パンツ」と「ドライEXウルトラストレッチアンクルパンツ」は、東レの独自技術と、そうした消費者の視点に立った細部の作り込みによって多くの支持を得た商品だ。いずれも通気性と速乾性に優れたパンツで、主にビジネスシーンでの着用を想定した感動パンツは薄くて軽く、幅広い年齢層に売れている。

動きやすさとファッション性で人気に

今年春先に発売され、たちまちヒット商品になった「ドライEXウルトラストレッチアンクルパンツ」。動きやすさとキレイなシルエットで若い男性に人気だ(写真:ユニクロ)

一方、ウルトラアンクルは、くるぶし丈のスポーティなパンツ。特殊なストレッチ糸を使い、非常に伸縮性が高くて動きやすい。しかも、生地に適度なハリ・コシを持たせたことで、ジャージーをはいたときのようなたるみができにくい。快適なうえに、ファッション性も兼ね備えるため、若い世代を中心に街着としても愛用する男性が続出している。

ファストリと東レは一昨年秋、3期目となる新5カ年の戦略パートナーシップを締結。ユニクロはH&M、ZARAなど海外ライバル勢との差別化にもつながる機能性衣料カテゴリーをさらに強化し、2006年からの第1期で2500億円、2011年からの第2期で6000億円(いずれも5カ年合計)だった東レからの調達額を、次の5年間では1兆円にまで増やす計画だ。

もちろん、東レにとっては絶好のビジネスチャンス。「われわれGO事業部の役割は、ユニクロが目指す『ライフウエア(究極の日常着)』の実現をサポートすること。原糸から衣地、縫製に至るまでの技術、ノウハウを生かし、魅力的な商品の開発に貢献していきたい」と技術主幹の田畑氏。ユニクロとの協業でどれだけヒット商品を創出できるかが、東レの衣料用繊維事業の成長性をも左右する。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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