アップル「最新スピーカー」の秘めた実力 ホームポッドはアマゾンエコー超えるか
アップル製品らしい特徴を備えているホームポッド
アップルの強みの1つは好機を見極める力だ。新しい技術を取り入れることで評価を受けている同社だが、実は必ずしも「初の製品化」の担い手ではないことが多い。アップルは初のパソコンを作ったわけでもなければ、初のデジタル音楽プレーヤーを作ったわけでも、初のスマートフォンを作ったわけでもない。そうではなく、アップルはすでに使われていた技術をさらにオリジナリティの高いものへと生まれ変わらせているのだ。
形のうえではアップルは「ホームポッド」と呼ばれる機器で同じことをやろうとしている。アマゾンのスマートスピーカー「エコー」に触発された製品で、6月の開発者会議「WWDC」で発表された。米国では12月に発売される予定で、価格は349ドルだ。
エコーはアマゾンの音声認識アシスタント「アレクサ」を搭載しているが、当初は冗談のように扱われていた。ある時期を境に人気が急上昇し始めるまでは。
さてホームポッドは、いかにもアップル製品らしい特徴をすべて備えている。見た目麗しくて高価格(エコーの約2倍)。先行品をはるかに上回る音質を誇り、部屋に合わせて一種のサラウンドサウンドを作り出す機能もある。
先行品をいかにもアップルらしい製品へと生まれ変わらせるというのは同社のお家芸だが、今回に限ってその重要性はホームポッドという1つのデバイスにとどまらない。ホームポッドの成功は、アップルが自らを生まれ変わらせることができるかどうかにかかっているからだ。
しばらく前からアップルに対しては、今後も成長を続け、新機軸を打ち出ししていけるのかという疑問が投げかけられていた。人工知能(AI)や仮想現実(VR)、拡張現実(AR)といった最先端の技術ではグーグルやフェイスブック、アマゾンといったライバルに先行を許しているようだから、なおさらだ。