アップル「最新スピーカー」の秘めた実力 ホームポッドはアマゾンエコー超えるか

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アップルのiPhoneは今も世界で最も儲かっているコンピュータ機器だし、同社の直近の未来は明るいと思われる。だが、長期的な業績見通しには部分的にだが暗雲が漂い始めている。世の中では美しいハードウエアへの関心が薄れつつある一方で、機器に触らずとも遠くから無線通信を通じて生活をアシストしてくれるサービスへの注目が高まっているように思われる。つまりアップルは時代に取り残されかねない状況に置かれているわけだ。

ホームポッドはアップルがそうした困難をいかに乗り越えるかの試金石となるだろう。音声認識アシスタント競争でアマゾンに打ち勝つには、クラウドサービスやAIをはじめとする、これまでずっと二の次にしてきた技術の優先順位を上げる必要があるからだ。

だが驚いたことに、アップルは自らを生まれ変わらせることに前向きらしい。WWDCの基調講演に注意深く耳を傾けていれば気づいたはずだ。アップルの経営陣はシャーマンが新しく強力な呪文を唱えるかのように、「機械学習」や「ディープラーニング」「画像認識」といった現代コンピューティングのキーワードを何度も繰り返していたからだ。

はっきり明言はしなくとも間違いなく、彼らは変化を示唆していた。アップルは将来のインテリジェント機器の基礎となるような、おたく好みのハイテクを優先する新しいタイプの企業に生まれ変わりつつあるらしい。これまでは、そうした技術の重要性を認識していても、あえて表には見せない傾向があったのだが。

この変化は必ずしもホームポッドの成功もしくはアマゾンのエコーの敗北を意味しない。エコーは先行品だし、ホームポッドよりずっと安いし、数多くの熱烈なファンがいる。まさに勢いに乗っている製品で、その行く手を阻むのは容易なことではないはずだ。おまけに、ホームポッドの使い勝手がどれほどのものかはまだ誰にもわからない。

便利さではおそらく見劣りする

大ざっぱに言うなら、ホームポッドはライバル製品のやれることの大半はできそうだ。「ヘイSiri、(カナダの人気歌手)カーリー・レイ・ジェプセンの曲を再生して」と言えば、あの明るい声が流れ出すといった具合だ。再生中の楽曲に関する問いにも答えてくれるはずだし、エコーと同様にほかにも声で指示するだけでさまざまな仕事をこなせるはずだ。タイマーをセットしたり、天気を教えてくれたり、インターネット家電を操作したり――。

その一方で、ホームポッドにはエコーにある多くの機能が備わっていない。たとえば今のところ、ホームポッドはアップルのエコシステムの中でしか使えないようだ。アップルは自社の定額制音楽サービス「アップルミュージック」に接続可能だと言っているが、スポティファイなどほかの音楽配信サービスの楽曲を再生できるかどうかは明らかにしていない。

また、エコーでは外部の開発者が音声認識で動く付加機能を作れるが、ホームポッドで同じことができるかどうかは不明だ。アマゾンの音声認識アシスタント、アレクサはユーザーに代わってUberで配車を依頼することができる。だがホームポッドは、「iPhoneでやってくれ」と答えるかもしれない。

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