太陽エネルギーの進化は、いずれ石炭を殺す

石炭産業を保護するトランプ政権の愚劣

化石燃料に回帰するアメリカを尻目に自然エネルギーで世界をリードするのは中国?(写真:XiXinXing / PIXTA)
パリ協定を離脱して石炭重視を貫くトランプだが、技術革新と低価格化でどのみち自然エネルギーが主流になる。

「ムーアの法則」は、太陽光にも当てはまる

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら

今の時代に石炭産業を保護する――それは、パソコンが急速に普及しだした80年代にタイピスト職を保護するくらい無意味なことだ。

なぜか。ドナルド・トランプ米大統領がどんなにじだんだを踏んでも、太陽光技術の発展によって石炭・石油産業はいずれ破壊されるからだ。

米半導体メーカー・インテルの創業者の1人であるゴードン・ムーアは65年、「半導体の集積度は18カ月ごとに倍増していく」と予測した。半導体の高集積化と低価格化を進めたこの「ムーアの法則」は、太陽光にも当てはまる。

半導体ほど急速ではないものの、太陽光技術もより安く、より高度に、予想を裏切らず持続可能な方法で発展している。2030年頃までに、太陽光は石炭を含むあらゆる炭素資源の半分以下のコストでの発電を可能にするだろう。

その意味では、地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定もほとんど無意味だ。技術が発展し、経済の法則に従えば、おのずと問題は解決されるのだから。

となると、大きな疑問が湧いてくる。世界のどの地域が再生可能エネルギーのシリコンバレーとなり、どの企業がこの業界のインテルやマイクロソフトになるのか? パリ協定を離脱したトランプの決定に何か意味があるとすれば、こうした地域や企業がアメリカではないことを確実にした、ということだ。アメリカは、誰も望まない石炭を掘ることにかけては超一流の国になり果てるだろう。

太陽光パネルの開発過程は、マイクロプロセッサのそれと共通の特徴を持つ。ムーアの法則は本質的に、メーカーが小さな面積により多くの機能を詰め込もうとすることを意味する。おかげで、NASAが月面旅行に結集したコンピューターの力の全てが、今では小さなアップルウオッチに組み込まれている。

同様の力学が太陽光パネルをより高度かつ安価に進化させつつある。技術者は太陽電池の薄型化を追求し、1ワット当たりのシリコンを削減し、効率化を上げて製造コストを押し下げる。

次ページバッテリー技術の向上も
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 住みよさランキング
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • ゴルフとおカネの切っても切れない関係
  • 日本野球の今そこにある危機
トレンドライブラリーAD
人気の動画
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
男性も入れる?新業態『ワークマン女子』の中身
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT