中高生女優を量産する芸能事務所の狙いと闇

美少女を次々発掘し、朝ドラを目指す

(2)ストーカーの恐怖と性的写真の拡散

「私は中学2年でデビューしましたが、まだ映画数本しか出ていないにもかかわらず、ストーカーに遭いました。撮影は朝早くから夜遅くなることもあったし、現場や事務所への行き来も私1人で、誰も守ってくれない気がして怖かったです。それと、デビューして間もない頃に、雑誌のグラビアで水着の写真を撮ったのですが、ネット上で拡散する人たちがいっぱいいて、芸能活動をやめようかと真剣に考えました」(現役女優18歳)

女優は売れっ子にならないかぎり、アイドルよりも事務所のガードは緩く、単独行動することも少なくありません。早朝の撮影は普通で、時には夜遅い撮影もあり、彼女たちはストーカーの恐怖におびえているのです。また、中高生タレントは水着などの性的なグラビアを求められるケースが多く、「ネット上にログが残ってしまう」という悩みを抱えるほか、引退後のダメージを気にする人もいました。

(3)学校でのイジメと不登校

「中学3年の頃ドラマや映画に時々出られるようになったのですが、高校に入学したら、それがはなについたのか、あからさまに無視されました。芸能活動が許された学校でも現実はこんなものなのか……と悲しかったですね。だから、仕事がない日も学校に行きたくなくて、不登校になってしまいました」(元女優17歳)

昔から芸能活動をしている中高生がイジメに遭うというケースは多かったのですが、最近はさらに悪質化。SNSが標準ツールになったことで悪口はエスカレートしやすく、特にタレントの中でも女優が標的になりやすいようです。売れるほど友人ができにくく、学校に行く機会が減ることで、プチ不登校や中退する人も少なくありません。

(4)メンタルの崩壊、貧乏と水商売への転身

「100本以上オーディションに落ち続けて、精神的に病んでしまいました。『私なんて何をやってもダメだ』と自分を否定するクセがついてしまいましたし、交通費ばかりかかって貧乏なので、事務所に内緒で水商売のバイトをしているくらいですから。知り合いの中には、事務所を辞めてキャバ嬢になった人も何人かいますよ」(現役女優19歳)

競争の激化で、オーディションの難易度は上がる一方。主演クラスの10代女優でも、「オーディションに落ち続けてどん底だった」という話をよく聞きます。厳しい状況であるにもかかわらず、「恋愛禁止」「髪型を変えてはいけない」「夜の外出禁止」などの行動規制も多く、さらに追い打ちをかけるのが金銭苦。その反動から、18歳になったタイミングで高校を辞めて水商売に転身する人もいるそうです。

(5)両親の不仲と家庭崩壊

「私の実家は地方なのですが、高校入学とともに東京へ引っ越しました。お母さんも一緒に上京して生活の世話をしてくれましたが、それがきっかけでお父さんとの仲が悪くなって、離婚してしまったんですよ。妹には『お姉ちゃんのせいで離婚した』と責められますし、これで女優として成功しなかったら最悪です」(現役女優18歳)

意外に多かったのがこれ。娘の芸能界入りをめぐって両親がけんかをしたり、地方在住のケースでは母親が上京したり、家族がバラバラになってしまうことがあるようです。なかには、「両親が離婚してしまう前に、私が事務所を辞めました」という人もいました。「両親に負担をかけている分、何としても成功しなきゃ」というプレッシャーも大きいようです。

ビジネスパーソンに通じるマルチタレント化

前述したように、AKB48グループや坂道グループなどのアイドル、雑誌『ニコラ』『Seventeen』『ラブベリー』などのモデルなど、女優業に進出する中高生タレントが増えています。

知名度やファンの数ではアイドルやモデルのほうが上回ることも多く、女優たちにとっては脅威の存在に。裏を返せば、バラエティ番組や雑誌に出演する女優が増えているのは、「アイドルやモデルに知名度やファンの数で追いつくことで、演じるチャンスを奪われないようにしよう」という意図があるからなのです。

次ページ中高生タレントをめぐる状況はボーダレス化
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • コロナショック、企業の針路
  • コロナ後を生き抜く
  • ポストコロナの明るい社会保障改革
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
スペシャルインタビュー<br>元ラグビー日本代表・畠山健介

今年から米メジャーリーグ・ラグビーのチームに所属、華やかな選手生活とは裏腹に幾多の葛藤を乗り越えてきた畠山選手。「ラグビーファンの拡大には、リーグのプロ化が不可欠だ」。新天地にいる今だから見えてきた日本ラグビー改革論を熱く語ります。