女子高生AI「りんな」はまだ序章にすぎない 「チャットボット」がスマホを激変させる

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このことは、AIを搭載した「Amazon Echo」に代表されるスマートスピーカーにおいても同様だ。だがスマートスピーカーは利用シーンが部屋の中に限られるのに対し、チャットボットはスマホを持っていればいつでも利用できるメリットがあることから、より身近な存在になりうると考えられている。

チャットボットが広まれば、スマホ上で提供されるサービスやコンテンツが、現在主流のアプリから、メッセンジャーアプリ上のチャットボットへ変化することとなる。すなわち、メッセンジャーアプリがOS(基本ソフト。スマホにおけるアンドロイドやiOS)に代わるプラットフォームとしての座を獲得する可能性を示しているともいえる。

スマホ上の覇権を、メッセンジャーアプリが奪う

そうした時代の到来を見越しているのがLINEである。LINEは昨年から戦略を大幅に刷新。LINEのユーザーをほかのアプリに誘導する戦略から、LINEの公式アカウントを活用し、あらゆるサービスをLINE上で提供できる環境を整える方向に切り替えた。

LINEはアプリに代わってスマホサービスの主導権を握るべく、LINEのトーク上でゲームなどが楽しめる「チャットアプリプラットフォーム」などの提供を打ち出している(著者撮影)

実際、6月にLINEが実施した事業説明会でも、LINEはトーク上にスケジュール管理やゲームなどの機能を拡張する「チャットアプリプラットフォーム」を新たに提供したり、従来アプリで提供していたライブ配信サービス「LINE LIVE」のビューアをLINEの中に取り込んだりすると発表するなど、外部アプリに頼らず、LINE内ですべてが完結する仕組みの構築を目指す様子がうかがえる。

こうした動きは中国で人気のメッセンジャーアプリであるテンセントの「WeChat」などでも見られる。さらに、世界的に人気のメッセンジャーアプリを複数傘下に持つフェイスブックが同調し、チャットボットを主体としたプラットフォーム戦略を積極化するようになれば、アップルとグーグルが独占してきたスマホ上の覇権を、メッセンジャーアプリが奪う可能性も十分ありうるのではないだろうか。

佐野 正弘 モバイルジャーナリスト

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さの まさひろ / Masahiro Sano

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける

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