マネー収縮加速、新興国などから資金巻き戻し

日本株も調整色、アジアで短期的波乱の可能性も

8月20日、米量的緩和第3弾(QE3)の縮小懸念を背景に、マネー収縮が加速、資金流出がアジア全体に拡大している。写真は2日、都内で撮影(2013年 ロイター/Issei Kato)

[東京 20日 ロイター] - 米量的緩和第3弾(QE3)の縮小懸念を背景に、マネー収縮が加速、資金流出がアジア全体に拡大している。1997─98年のアジア通貨危機当時と比べて、通貨スワップ体制など安全網が構築されているほか、欧州や中国経済は持ち直しの兆しを見せ始めているが、短期的な波乱の可能性もある。

ドル/円は比較的底堅いが、米国でも株安・債券安となっており、日本株も調整色が強くなってきた。

新興国関連株が軒並み安

20日の東京株式市場では、新興国関連株が軒並み売られ、日本株を下押した。ダイハツ工業<7262.T>、スズキ<7269.T>、いすゞ自動車<7202.T>、ヤマハ発動機<7272.T>などは6─7%安と日経平均<.N225>の2.63%安(361円安)を大きく上回る下げとなった。自動車株は業績期待で買われてきただけに、反動の売りも大きくなっている。

インドネシアやインド、タイなど一部のアジア新興国で株安・通貨安が進行しており、同地域で事業展開している銘柄に売りが先行したためだ。「米QE3縮小観測を背景に、新興国から資金が引き揚げられる動きが強まっており、経済減速を通じて日本企業のビジネスが圧迫されると懸念されている」(岩井コスモ証券・投資調査部副部長の清水三津雄氏)という。

売りの対象になっている新興国に共通するのは経常赤字だ。インドネシアの第2・四半期の経常赤字はGDP(国内総生産)比で4.4%と、前四半期の2.4%から拡大。インドの経常赤字も対GDP比で4.8%と政府目標の3.7%を大きく超えている。経常赤字国は、海外からの資金に頼ることになるため、マネー収縮が始まると経済のぜい弱性に注目が集まりやすくなる。マネーが引き揚げられれば、株安、債券安、通貨安が相互に連鎖する可能性がある。市場の混乱に投資資金の回収が加われば、実体経済への影響も大きくなる。97─98年にアジアを揺るがした通貨危機の構図だ。

韓国やマレーシアなどにも資金巻き戻しの動きが波及し始めており、市場では「消費税増税とアジア通貨危機で景気が腰折れした97─98年を思い出す」(準大手証券)との声も出始めた。

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