新幹線「最後部座席後ろの空間」は誰のものか

訪日客は荷物の置き場所に悩んでいる

JRでは「大きな荷物は荷物棚に載せてほしい」とアナウンスしている。しかし、実際にはその想定をはるかに超えた荷物を持って乗って来るのだから困りモノだ。重量挙げの選手とかならまだしも、普通の人に20キログラムを超える荷物を荷物棚に載せるという芸当は簡単ではない。

実は荷物を上げる時より、降ろす時のほうがもっとこわい。荷物棚の下は通路ではなく座席だ。手を滑らせて真下の人の頭に落としたら間違いなくケガをさせてしまう。

二階建てTGVの車内には、大きなスーツケースを置ける棚が設けられている(筆者撮影)

東海道新幹線以外の路線を走る新幹線車両には荷物用のラックが設けられていることもある。だが、ビジネス客で満席となることも多い東海道新幹線にはそのようなスペースを設ける余裕はなさそうだ。そこで、対策を思い付く訪日客もいる。荷物を持って乗車する際、真っ先に「最後部の座席の後ろに置こう」と考えるわけだ。最後部の座席の背もたれと壁の間には荷物を置けるちょっとした空間がある。

もっとも、東海道新幹線では「後ろのドア付近に荷物を置いた人は乗務員にお声がけください」というアナウンスを日本語と英語の両方でしているが、そんなことを気にする訪日客はたぶんいないし、仮にいたとしても乗務員とそんなコミュニケーションがとれるかどうかはいささか疑問だ。ちなみに、最後部の空間は最後部座席の人のものではない。特にルール化されていないので、先に置いた人が優先されるということになりそうだ。

訪日客に宅配便の利用を促す手も

車両の最後部など自分の目に届かない場所に荷物を置いて、「盗難などの被害に遭う心配はないか」と懸念を持つ人がいるかもしれない。ところが訪日客たちにはそういった心配をしている感じはない。

ちなみに欧州各国では、デッキなどに設けられた荷物用のラックだけでなく、自転車や車いすを置く多目的スペースにも構わずスーツケースを置くことが当たり前の習慣となっている。日本で出版されている欧州の鉄道旅行について書かれたガイドブックには「車内にスーツケースを置く時、盗難対策にチェーンロックを使おう」といった記述も見かけるが、当の欧州の人々がそういった方法を取るのを見たことがない。

ほかの路線の例で見ると、新千歳空港と札幌を結ぶ「快速エアポート」にロングシートの自由席車両が増えてきた。クロスシート車両の場合、荷物の多い旅行客が隣の席に荷物を置いてしまい、1人で2人分の座席を利用するケースが少なくなく、これがロングシートの導入につながった。また、通路側の席の人が足元に大きな荷物を置いた場合に窓側の人が通れなくなったというケースもあったようだ。

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