現行iPhoneに「iOS 11」がもたらす3つの進化 「倍の枚数」の写真が保存できる!
長くiPhoneを使っていくと、写真で保存容量が圧迫されていく。筆者のカメラロールも、3カ月で100GB(ギガバイト)近くになってしまい、定期的にバックアップを取って、iPhoneから写真を削除する、といった使い方をしていた。特にSNSではビデオの活用も増えており、よりたくさんの保存容量を必要としている。
iOS 11での新しいフォーマットの採用は、iPhoneの購入価格を引き下げる可能性もある。たとえば今まで128GBモデルのiPhoneを使っていた人が、写真が増えてきたため次は256GBモデルにしようと考えていた場合でも、iOS 11で記録される写真の容量が半分になるなら、容量を増やさなくてもよいと考えるかもしれないからだ。
HEIF・HEVCの採用によって、まず恩恵を受けるのは、前述のLive Photosだ。保存されるビデオのクオリティが向上することで、静止画となる写真を、3秒間記録されたビデオ部分のどのフレームからか切り取るか選択できるようになる。写真に撮りたかった瞬間をつねに後から選べるようになることを意味する。
ちなみに、既存のSNSやほかのスマートフォンが、必ずしもこれらのフォーマットをサポートするわけではない。そのため、共有する際は、自動的に、これまでのJPEG形式写真・H.264形式のビデオに変換されるため、ユーザーがファイルフォーマットの違いを意識する必要はない。
アプリが「自分のためだけ」に賢くなる
iOS 11で非常に大きな進化のポイントとしては、機械学習のためのAPI(開発プログラム)「Core ML」を搭載した点が挙げられる。これによって実現されることは、「自分のためだけの賢さを発揮してくれるアプリ」の実現だ。
機械学習は、テクノロジー業界で数年前からのトレンドとなっている。機械がデータを与えられて、用意されているモデルに沿って学習し、ユーザーに対してよりよい、賢い結果を返すことができるようにするものだ。
その活用例として有名なのが、グーグルの囲碁のプログラム「AlphaGo」であり、世界最強レベルの棋士を打ち負かしたことでも有名だ。機械学習は、Amazon Echoやグーグルアシスタント、Siriといった人工知能での活用も進められている。しかしこれらを実現するためには、膨大な処理能力を誇るコンピュータが必要であり、個人やアプリ開発者が自由に開発したり、利用できるものではなかった。
その一方で、アップルは異なるアプローチを採っている。iOS 11のCore MLの意味とは、各ユーザーのiPhoneの中で、そのユーザーのためだけの機械学習を行うことができる、ということだ。機械学習の“オンデマンド”“オーダーメイド”というと、イメージがしやすい。
アップルはiOS 11の中で、機械学習の例を2つ披露した。
1つはカメラと写真。顔の認識やランドマークの判断、テキスト認識、矩形(くけい)認識、バーコード認識、顔や物体のトラッキング、画像の登録など、撮影時、閲覧時に役立つデータの蓄積を、iPhoneの中で行うことができるようになる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら