いま琴線に触れる「料理をめぐる小説」3選 人気作家・柚木麻子さんが推薦

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料理教室に行きたくなる本をご紹介します(写真 : tkc-taka / PIXTA)
『ランチのアッコちゃん』など、料理をモチーフにした人気作品も多い柚木麻子さん。1981年、東京都生まれ。2008年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、2010年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。2015年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。そんな柚木さんがおすすめする「本当に料理教室に行きたくなる」3冊とは。

“料理は家庭的でも婚活向きでもない”

当記事はVOCEウェブサイトの提供記事です

柚木さんの新刊のタイトルは『BUTTER』。8年前の婚活殺人事件とも呼ばれる、木嶋佳苗事件が執筆のきっかけになった。

「被告がお料理教室に通っていたこと、教室で被告と一緒だった人たちが、後になって事実を知り、精神的につらい思いをされたという事実が気になりました。婚活の場で料理好きと言うと男の人は喜びますよね。

でも、料理といってもいろいろあるし、料理が上手=家庭的ではない。女同士で美味しいものを食べにいったり、未開の地に美味を求めにいったりもしますよね。料理好きな人や料理教室に対しての世の中の偏見があり、逆に、料理を全然しない女性に対しての圧もあります。この事件の背景にあるのは、女の人同士を連帯させない社会の差別意識かなと思っていました」

ご自身も料理好きの柚木さんが、「女の人同士を競わせたり、マウンティングに利用されたりする“料理”から解放され、料理教室に行きたくなる」3冊を挙げてくれた。

失敗を恐れずやらないと自分の“適量”はつかめない

「『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』は、レシピが実用的なところや、困っている女の子を放っておけない!というシスターフッドの雰囲気がとても好きです。

『大おばさんの不思議なレシピ』の主人公・美奈はぶきっちょな中学1年生で、いじられキャラ。お料理もうまくないけれど、大おばさんのレシピにそって“とりあえず作る!”“やってみる”っていう“中1マインド”がいいです。

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