ゼファー民事再生、SBIホールディングスに大きな誤算
売上高1280億円、最終利益63億円。たった1年前の決算でこれだけの好業績を上げていた不動産会社が奈落の底に滑り落ちた。
東証1部上場のゼファーは7月18日、民事再生法の適用を申請した。負債総額949億円。加ト吉創業者の支援を得て、1994年にマンション分譲を主体に創業。オフィスビルの開発などにも多角化、特別目的会社を使った不動産流動化事業にも手を広げた。が、昨秋来の不動産市況悪化で資金繰りに窮した。
直接の引き金は、2年前に買収したマンション分譲子会社の近藤産業(大阪市)が5月末に自己破産したことだった。ゼファーは120億円近い金融支援を行っていたが、支えきれなかった。ゼファー自身も300億円もの物件売却が決済延期となり、在庫を抱えて立ち往生。コマーシャルペーパーによる資金調達もまったくできなくなった。
株式持ち合いの陥穽
ゼファー倒産は、約21%を出資する筆頭株主のSBIホールディングスにとって痛手だ。SBI保有のゼファー株は簿価約95億円。倒産で価値は紙切れ同然となる。さらにSBIグループはゼファーに対して120億円の貸付金残高がある。「優良不動産に担保設定しており、簿価の70%評価でも貸付金を回収できる」と説明するが、今後の担保処分は予断を許さない。
SBIがゼファーに資本参加したのは2005年9月。不動産事業の強化を狙っての提携だった。が、北尾吉孝CEOによれば、「ハイレバレッジ(高い借入金比率)をきかした不動産開発で急成長したゼファーとわれわれの不動産事業は異質だった。連携した事実もなかった」という。
それでもSBIがゼファーの筆頭株主であり続けたのは不可解。実はゼファーに対する貸付金は6月時点で200億円にも上っていた。ここまで肩入れした背景の一つは株式持ち合いの“呪縛”だ。ゼファーは資本受け入れの後、SBI株を2・8%取得している。SBIは06年にソフトバンクとの資本関係を解消、「安定株主としてゼファーは重要だった」(北尾氏)。
結局、最後はゼファーが持ち合い株を売却、それを原資にSBIは貸付金の一部を回収した。それでも積み残った投融資残高は200億円超。代償は決して小さくない。
(武政秀明 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら