「AKB総選挙」投票システムが次に目指すもの 国政選挙でもネット投票活用の余地

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パイプドHDグループがAKB総選挙での経験を生かし、次の目標としているのは公職選挙におけるインターネット投票の実現だ。2017年3月に、ネット投票に関する調査などを手がける子会社「VOTE FOR」を設立した。選挙情報サイト「政治山」を運営するほか、ブロックチェーンなどの新技術を活用した投票システムの構築・運営支援を行う。

昨年のAKB総選挙での投票数は、前述の通り325万票。総務省の調査によれば、昨年の参議院選挙において投票数が325万票を上回った選挙区は、東京(641万)、神奈川(420万)、大阪(380万)、愛知(336万)の4府県のみだった。

HDのグループ会社では、維新の党が2015年8月に党代表選挙でインターネット投票を試みた際、システムの構築を請け負ったこともある。代表選自体が中止となったため実現することはなかったが、「やるからには法律に準じて高い水準の仕様を作り上げた」と、VOTE FOR代表取締役で、当時システム構築にかかわった市ノ澤充氏は手応えを感じている。

ネット投票でコストが削減できる

公職選挙のネット投票実現には、越えるべき課題は多い(写真:YNS / PIXTA)

公職選挙のネット化へ、手始めに投票結果に法的拘束力がない住民投票などでの実現を目指す。国政選挙では、実施に費用負担の大きい在外邦人の投票などへの導入を働きかけていく考えだ。

公職選挙にネット投票を導入するには、不正投票やセキュリティ対策はもちろん、投票内容を他人に知られない秘密選挙の原則や、有権者本人が投票するという直接選挙の原則をどう担保するかという制度的なハードルがある。

越えるべき課題は多いが、「有権者も国も大きなコストを払って選挙を行なっている。コストが民主主議のボトルネックになってはいけない。投票のチャネルをひとつ増やすという意味でも、ネット投票には活用の余地がある」と市ノ澤氏は話す。

AKB総選挙におけるシステム構築が、今後の公職選挙の効率化につながるかもしれない。

東出 拓己 東洋経済 記者

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ひがしで たくみ / Takumi Higashide

半導体、電子部品業界を担当

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