パナソニックは韓国企業にリベンジできるか 車載電池への投資拡大で次代の成長を描く

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そもそもテスラの販売が順調に伸びなければ、ギガファクトリーの供給力は過剰になってしまう。「プラズマの二の舞を避けるには、円筒型電池を普及させるのが一手」(みずほ証券の中根康夫アナリスト)だが、現状では十分に進んでいない。

テスラのイーロン・マスクCEO(中央)とパナソニックの津賀一宏社長(右)。車載用途の円筒型電池はテスラ以外ではあまり普及していない(写真:パナソニック提供)

パナソニックはトヨタ自動車の「プリウスPHV」や日産自動車「ノートe-POWER」、VWの「e-Golf」など、50車種に電池を納入している(2017年3月時点)。ただ、多くはテスラ向けと規格の異なる角型電池だ。

円筒型電池は1台当たりに搭載する電池の本数が多く(テスラ車の場合は1台に約7000本)、制御するには複雑なシステムが必要になる。そのため安全性への懸念が払拭されておらず、テスラ以外の自動車メーカーの採用は進んでいない。

リチウム電池への投資には懸念の声も

そもそも、現行のリチウムイオン電池への巨額投資に懸念を示す声もある。「日本には強い素材メーカーがいて生産技術も高い。固体電池など中韓メーカーに作れない次世代電池の開発に投資してコスト競争とは一線を引くべき」と、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の細井敬・蓄電技術開発室長は指摘する。

車載電池への投資にリスクは付きまとう。それでもエコカー市場の成長を見据えて、今後も投資は続けていく方針だ。津賀社長はプラズマ撤退を決断し構造改革を推し進め、これまで収益改善を演出してきた。今度は自ら選んだ分野での攻めのフェーズ。手腕が試されるのはこれからだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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