パナソニックは韓国企業にリベンジできるか 車載電池への投資拡大で次代の成長を描く

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中国の大連でもこの4月に現地・外資自動車メーカー向け車載電池の工場が竣工した。中国は環境規制の強化でEV普及が急速に進展。それに伴い主要部品の車載電池も需要が増加、成長機会を逃すまいと投資を拡大中だ。

車載電池に熱を上げているのはパナソニックだけではない。

ライバルの韓国電池大手のLG化学とサムスンSDIはそれぞれ4000億ウォン(約400億円)を投じ、ポーランドとハンガリーに工場を建設中だ。独VWや独BMWなど欧州自動車メーカーとの取引拡大を狙っている。

パナソニックがLGやサムスンと競合するのは、今回が初めてではない。2000年代後半にも、ディスプレー市場で覇権を争った。

パナソニックは当時、次世代ディスプレーとしてプラズマを生産しており、総額6000億円を超える大規模投資を断行した。

液晶に敗れ赤字に転落

しかし、韓国勢やシャープが生産する液晶がディスプレーの主流となり、プラズマは撤退に追い込まれた。設備の減損などを余儀なくされ、2011年度から2期連続の赤字に沈んだ。

今回の車載電池への投資拡大は、当時の苦い出来事を思い出させる。プラズマと同じ轍を踏むことにはならないのか。この懸念に対し、伊藤好生副社長は「ディスプレーは設備も材料も横並びで差異化が非常に難しい。車載電池は顧客の設計思想によって要求が千差万別だから競争力を発揮できる」と自信を見せる。

ただ、モデル3で今後販売台数が急増するテスラにとって、電池の調達先がパナソニック1社ではリスクが高い。そのため、「パナソニック以外の電池も採用できるよう努めている」(テスラ)という。テスラ車に積載されている円筒型車載電池の製造技術や設備はLGやサムスンも有しており、独占供給の地位は盤石とはいえない。

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