ほぼ日、「ほぼ新入社員」採用でどう変わる? 糸井重里社長「今まではムーミン谷だった」

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もう1人は国際的な物理学者・早野龍五氏である。

早野氏は東京大学理学部教授を3月に定年退職したばかりだ。ほぼ日は「アースボール(仮称)」という、ただの地球儀を超えた地球儀の開発プロジェクトを進めているが、こうしたプロジェクトをがぜん面白くするのに早野氏の知見が役立つかもしれない。

どちらも社外取締役として招聘してもおかしくないキャリアだが、暫定的かもしれないが社員という点が斬新だ。「夢に手足を、と言ってきたが手と足が動き出した実感がある。早野氏と河野氏の採用は幸運だった。社内は人事に沸いている」と糸井社長は興奮気味に語った。

今までのほぼ日はムーミン谷

質疑応答で「これからしなければいけないことは?」と漠然と問われると、「人材採用。がめつい人が欲しい。今までのほぼ日はムーミン谷みたいなところがある。自然体で、天然に成長してきた。だが、最後の詰めのところで崖を駆け上るような(バイタリティのある)人材がいない」と糸井社長は嘆いた。

ほぼ日のオフィス。これまでは自然体だったが、糸井社長は「がめつい人」を採用したがっている(撮影:尾形文繁)

糸井社長によれば、マッキンゼー出身の篠田CFOは「がめつい人」の部類だが、「篠田氏のいる財務部門ではないところに、がめつい人が欲しい」というのだ。あまりにも人材不足を嘆くので「人材がほぼ日の成長のネックか」と水を向けられた。すると糸井社長は「ネックではなく伸びしろだ」と返していた。

最後に「動画サイトや既存のマスメディアとの協業は考えないのか」と問われると、「これから大いにありうることだが、組むことで壊れることもある。組むなら(ほぼ日が)涙を飲むことのない組み方をしたい」と独特の言い回しで提携戦略を語った。

2人の「新入社員」を迎え、「ムーミン谷」だったほぼ日の社内はどう化けるか。それがどんな新商品を生み、どう業績に影響してくるのか。ほぼ日の次の展開への仕込みは「実はだいぶ動いている」と糸井社長が満面の笑みで語ったのが印象的だった。

山田 雄一郎 東洋経済 記者

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やまだ ゆういちろう / Yuichiro Yamada

1994年慶応大学大学院商学研究科(計量経済学分野)修了、同年入社。1996年から記者。自動車部品・トラック、証券、消費者金融・リース、オフィス家具・建材、地銀、電子制御・電線、パチンコ・パチスロ、重電・総合電機、陸運・海運、石油元売り、化学繊維、通信、SI、造船・重工を担当。『月刊金融ビジネス』『会社四季報』『週刊東洋経済』の各編集部を経験。業界担当とは別にインサイダー事件、日本将棋連盟の不祥事、引越社の不当労働行為、医学部受験不正、検察庁、ゴーンショックを取材・執筆。『週刊東洋経済』編集部では「郵政民営化」「徹底解明ライブドア」「徹底解剖村上ファンド」「シェールガス革命」「サプリメント」「鬱」「認知症」「MBO」「ローランド」「減損の謎、IFRSの不可思議」「日本郵政株上場」「東芝危機」「村上、再び。」「村上強制調査」「ニケシュ電撃辞任」「保険に騙されるな」「保険の罠」の特集を企画・執筆。『トリックスター 村上ファンド4444億円の闇』は同期である山田雄大記者との共著。

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