長島氏離党にみる民進党の「終わりの始まり」 執行部激怒、衆院選の「刺客」に蓮舫代表も

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一方、長島氏は会見で小池百合子東京都知事との連携の可能性を問われると「あらゆる可能性を追求していきたい。真の保守政治を確立するため、私の思いに共鳴する方と行動を共にしたい」と前向きの姿勢を示したが、当面は無所属議員として活動し、民進党内の長島グループにも「同調するメンバーはいない」と語った。これに関連して自民党の下村博文幹事長代行は「自民党会派で活動してもらえればありがたい」と秋波を送ったが、長島氏は「(自民会派入りは)まったく考えていない」と否定した。

長島氏が小池都知事との連携をにじませた背景には、都議選の民進党公認候補だった同氏の元秘書が離党して、小池新党と呼ばれる「都民ファーストの会」への参加を模索する動きもあるからだ。長島氏にとって蓮舫代表より小池氏の方が「政策的に近い」こともあり、「次期衆院選もにらむと、小池氏との連携が生き残りの道と判断した」(民進党幹部)との指摘もある。

長島氏は衆院当選5回。幼稚舎からの慶応ボーイで同大大学院を経て米国に留学。外交・安全保障などを学び、帰国後は政治家を志し、2003年の衆院選で東京21区から旧民主党公認で出馬して初当選した。2014年の衆院選まで比例復活(2回)も含めて連続当選を続けている。野田政権では防衛副大臣を務めた外交・防衛分野の専門家で、自民党からも評価される党内保守派の中心人物でもあった。

細野氏が「改憲私案」、執行部内の対立露呈

長島氏の離党と時を同じくして細野代表代行の憲法改正私案が10日発売の月刊誌『中央公論』に掲載された。私案は(1)幼児から高校までの教育無償化、(2)大災害時に国会議員の任期延長を認める緊急事態条項――などが柱となっており、細野氏は「国民は、憲法の考え方を示せない政党に政権を託すことはない」と力説する。ただ、蓮舫代表は「教育無償化の実現には改憲は不要」などと主張しているだけに、憲法改正という「最大の基本政策」での執行部内の意見対立を露呈した格好だ。

この細野私案については二階幹事長が「われわれの考え方をよく理解してくれている」と述べるなど自民党は好意的に受け止めている。しかし、岡田克也旧民主党前代表が「安倍政権下では憲法改正は議論しない」と繰り返したように、蓮舫体制も現状での改憲論議には慎重だ。次期衆院選での共産党との「共闘」志向が背景にあり、憲法改正に踏み出せば「改憲絶対反対」の共産党との選挙協力が困難になるからだ。ただ、細野氏も含め党内保守派は執行部の対応に批判的で、長島氏の離党と細野私案の発表が重なったのも「偶然ではない」(民進党長老)と受け止められている。

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