鉄道マンが「見えない」を体験して見えた課題 体験すれば広がる?視覚障害者への「声かけ」

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今回のセミナーでは、アイマスクを着けて実際に見えない状態を体験することで、参加者たちは駅ホームに対する視覚障害者の不安、そして声かけの重要性を実感したようだ。

アイマスクを着けてホームを歩く参加者たち(撮影:風間仁一郎)

車掌の男性は「今回の講習は仲間の乗務員が案内役で、場所も熟知しているはずの駅だが、それでも段差などは怖いと感じた。混雑しているときなどは不安になるのでは」と、見えない状態で歩くことの怖さを語った。また、案内を受ける視覚障害者の役を体験することで「サポートする際の案内の仕方が大切だとわかった」「コミュニケーションを取るのが難しいと感じた」との声も聞かれた。

自らアイマスクを着け、見えない状態での歩行を体験した後藤会長も「怖いですね。まったく見えない、そういう中で電車に乗るということに恐怖心が先立った」との感想。そして「隣に誘導してもらえる係員がいることで、心強さや安心を感じていただけると思う」と、駅係員などによるソフト面での対応の重要性を指摘した。

ホームの駅員配置はどうする?

西武鉄道は現在、池袋駅でホームドアの設置を進めているほか、練馬・西武新宿・高田馬場・所沢・国分寺の5駅に2020年度までに整備する方針を示している。だが、全体の駅数から見ればまだ少数。ホームに係員が不在の駅も存在する。

この点について後藤会長は「きょうのセミナーを通じていろいろ検討していかなければならないと思う。現時点においては具体的なアイデアはないが、今後そういったテーマに対してどう対応していくかはしっかり考えていきたい」と述べ、「障害のあるお客様のご意見も聞きながら、国ともすり合わせをしていく必要があると思う」との考えを示した。

トップ自らがアイマスクを着けての歩行体験を行ったことで、これから西武のホーム安全対策にどのような成果が表れていくか注目されるが、当然ながら駅ホームの安全は西武鉄道だけの問題ではない。

ホームに係員を増員したり、現在無人の駅に配置したりすれば、安全性は増す可能性が高いものの、鉄道側の負担は増える。また、現状のままでソフト面の対策を強化すれば、駅員の負担が増える恐れもある。鉄道事業者にとっては無視できない問題であり、ホームの安全対策強化を図る上で大きな課題だ。

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