アパートの「造り過ぎ」はなぜ止まらないのか 空き家だらけになる未来を放置すべきでない

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タス社のレポートによると、首都圏アパート(木造・軽量鉄骨)の空室率TVIは、2015年春には30ポイント程度だったところ、2015年以降急激に伸びはじめ、2017年1月には神奈川県約38ポイント、埼玉県・千葉県は35ポイント弱へとハネ上がった。「新築アパートがどんどん建っているけれども、入居がない」ということを示していると見ればよいだろう。

家賃保証は、本当に機能するのか?

実際に、首都圏郊外では、完成しているにもかかわらず入居率が50%、70%にとどまるアパートが散見される。ところが、こうした状況であっても地主は直ちに困ることはない。一定期間の「家賃保証」が付いているからだ。これがいわゆる「サブリース契約」と呼ばれるもので、建設事業者がアパート全体を相場家賃の80~85%程度で借り上げている。

しかし、この保証は未来永劫続くはずもない。たとえ「30年保証」と大きくうたわれていても、期間中の家賃は景気動向その他社会情勢の変化に応じて見直される。こうしたことは契約書をよく読めばわかるはずだが、営業の現場では「絶対に安心だ」「家賃は下がらない」といったオーバートークが繰り広げられることも多いため、地主はそれを信じて契約してきた。

こうした事態を受けて国土交通省は、サブリース契約のあり方について見直しを行い、そのリスクをより明示的にするよう通知を行うなどしてきた。しかし、さしたる効果はなかったようで、今年度はサブリース契約のあり方について再度見直しを行うとしている。

総務省の「住宅・土地統計調査」によれば、2013年時点におけるわが国の空き家は820万戸だった。あれから4年が経過し、すでにわが国の空き家は1000万戸を突破しているはずだ。さらに今後、団塊の世代を中心とした人口ボリューム層は一気にいなくなる。

そうした局面では、空き家の増加は加速する。野村総合研究所によれば、たとえ新設住宅着工戸数が減少しても、それを上回るスピードで世帯数の減少が見込まれるため、2033年の空き家数は2000万戸を突破、空き家率は30%を超えると予想している。

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